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クロップの発言にドイツが騒然。
ドルトムントとリバプールの差とは。
posted2020/07/04 11:40
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph by
AFLO
プレミアリーグでリバプールが30年ぶりに優勝したことは、ドイツでもまるで我がことのように話題になった。理由はもちろん、監督ユルゲン・クロップがドイツ人だからだ。
クロップは落ちぶれていたドルトムントを再建し、バイエルンを下して'10-'11、'11-'12シーズンに連覇を成し遂げた。これがどれほど特別かということは、'12-'13シーズン以来バイエルンが8連覇中ということからもわかる。
しかも例えばヨアヒム・レーブのような「なんだかよくわからないけど結果が出ている監督」とも違って、プレッシングからのショートカウンターというサッカーの方向性も明確だ。若手を多く獲得し成長させていくスタイルも、王者に立ち向かうクラブのイメージを強化した。
クロップ自身の話し口調もはきはきとしていて好感度が高く、ベンチで得点を喜んだり、選手と抱擁したり、時には判定やプレーに怒ったりと、感情を爆発させる様子は心を動かす。
まだドルトムントが頻繁に練習を公開していた頃(つまり優勝した2012年頃)、サインや写真を求める行列が一番長いのはクロップだった。実力も人気も兼ね備えた、ドイツを背負う大事な監督なのだ。
優勝後の貴重なインタビューで。
6月25日にリバプールが優勝を決めた後、クロップは『ビルト』紙のインタビューに応えている。それが29日付で、質問と答えが箇条書きで動画とともにウェブサイトに掲載されている。
このテキストは、多くのドイツメディアや『FIFA.com』のドイツ語版でも展開された。それほどこのタイミングでクロップがドイツ語で何を話すかは注目されていたということだ。
面白いのは、このインタビューが『ビルト』によるものだということだ。高級紙でもなく、キッカーのような専門誌でもなく、ビルトだ。方向性としてはゴシップあり、裸あり。日本で言えば『東スポ』に近いと言ってもいいかもしれない。筆者は、知人の女子大生に「『ビルト』を読んでいる」と言って眉をしかめられたことがある。
ただ『ビルト』は欧州で一番売れている新聞でもあり、つまり読む人は多い。他メディアからのオファーがなかったとは思えないから、クロップはあえてビルトを選択したのだろう。