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井上尚弥のラスベガスデビューは夏?
怪物狩り目論むカシメロ陣営を直撃。
posted2020/04/28 11:40
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph by
Hiroaki Yamaguchi/AFLO
米国時間4月25日は本来であればWBA、IBF世界バンタム級王者井上尚弥(大橋)のラスベガスデビュー戦が行われるはずの日だった。
世界を震撼させている新型コロナウイルスによるパンデミックで、マンダレイベイ・イベンツセンターで予定されていたWBO王者ジョンリエル・カシメロ(フィリピン)との統一戦は延期が決定。全米の多くの主要都市でロックダウン(都市封鎖)が続いている状況で、この試合がいつ挙行できるのかは不透明なままだ。
現在、アメリカのスポーツ界全体がほぼ完全にストップし、ボクシング興行も3月下旬以降は開催されていない。今後、状況が徐々に安定していくことを想定し、井上のアメリカでのプロモーターを務めるトップランク社は、6月に複数の無観客興行を企画していると伝えられている。
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しかし、同社のボブ・アラム・プロモーターは4月下旬、トップランクの公式YouTubeで「井上はしばらくアメリカには来られないだろう。カシメロ戦は後回しにするしかなさそうだ」とコメントした。日米のボクシングファンから待望されてきたカードは、残念ながら当分延期になる可能性が浮上している。
試合をしないとは、まだ聞いていない。
もっとも、カシメロとその陣営はこの試合の挙行をまだ諦めたわけではないようだ。それどころか、依然として前向きな姿勢を保っている。“モンスター・ハンティング(怪物狩り)”を合言葉に、WBO王者は準備を続けているという。
24日、カシメロが所属するMPプロモーションズ(マニー・パッキャオが設立した会社)のショーン・ギボンズを電話取材すると、威勢の良い言葉が返ってきた。
「YouTubeのインタビューが公開された後にボブと電話で話しましたが、ボブの言葉はどうやら誤った形で受け取られたようです。彼が言いたかったのは、『井上が渡米できるようになるまでは試合は組めない』ということ。アメリカ政府の渡航制限が遠からぬうちに緩和されるという条件付きですが、7、8月に挙行という線は消えていません。カシメロの交渉を担当する私は、試合が行われないとはまだ聞かされていません。
井上はすでに米国への入国ビザを取得しており、依然として渡米の意思はあると聞いています。ラスベガスの経済活動が5月中旬くらいまでに再開されれば、トンネルの向こうに光が見えてくるはずです」