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2020年ドラフトを1人で予想1/3。
12球団×上位3人の36人リスト。
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byKyodo News
posted2020/04/13 08:00
「ひとりドラフト」で中日の1位となった中京大中京の高橋宏斗。高校生にして即戦力、という大器だ。
ヤクルトは「勝てる投手」が急務。
〔東京ヤクルト 2020年ひとりドラフト指名選手〕
外れ 投手 早川隆久(早稲田大) 179cm72kg 左投左打
外れ 投手 栗林良吏(トヨタ自動車) 177cm80kg 右投右打 24歳
1位 外野手 五十幡亮汰(中央大) 172cm64kg 右投左打
2位 投手 森博人(日本体育大) 177cm77kg 右投右打
3位 内野手 度会隆輝(横浜高) 180cm76kg 右投左打
〔総評〕
レジェンド左腕・石川雅規が今季40歳になった。
同じ左腕では5年目・高橋奎二が昨季4勝で台頭し始めているが、投手陣を担う「左腕」がもう1枚欲しい。そこに、「神宮のエース」早川隆久が出てきたので迷わず行ったが、無念の抽選負け。
今季のルーキー・奥川恭伸、吉田大喜の成長も見込めるが、チームの現状にかんがみると、まずとにかく「勝てる投手」だ。
しかし、昨年は「3分の1」の確率で奥川恭伸を引いた高津臣吾監督(に扮した筆者)も今回は、なんと抽選2連敗。
ここで一転、快足の外野手・五十幡亮汰にターゲットを変えてきた。
中学時、陸上100m、200mで全国優勝。全身にみなぎる強靭なバネとスピード感は、もともと目を奪われるものがあったが、去年の春ごろまでは、どこか「陸上部からの助っ人(失礼)」的なひ弱さが、特にバッティング面に残っていた。
それが、秋から立派な「野球小僧」に成長。攻守に球際の強さを発揮して、実戦力がぐんと上がった。昨年11~12月の学生ジャパン候補合宿、変わりっぷりがいちばん目立ったのが、この五十幡だった。
高齢者球団になって久しいヤクルト外野陣に、その超スピードで新風を吹き込む。
度会博文の息子の天才的バッティング。
2巡目のスタートでは、日本体育大の剛腕・森博人を指名した。
実戦でコンスタントに145キロ前後のスピードをマークできる右腕だが、この投手の持ち味はスピード以上に、速球の「強さ」だ。少々中に入っても、インパクトでスイングを圧倒できる破壊力を持った速球。そこを買った。
20代前半の頃の小川泰弘投手がこういう速球を投げていたが、今のヤクルト投手陣には、ほとんどいないタイプだ。
プロ級のバットコントロールを持つ3位・度会隆輝のバッティングは天才肌だ。
多くの高校生野手が、最初に当たる「プロの壁」が木製バットの使いこなしだ。インサイドアウトのスイング軌道、近いポイントでバットの芯で捉えられる技術。あとは、体幹を強化して、スイングに瞬発力が加わってくれば……。秋山翔吾レベルを期待してよいアベレージヒッターだ。
これは、まったくの偶然なのだが、昨年のドラフトの「2位」が同じ日本体育大・吉田大喜。そして遡ること27年、1993年のドラフト・ヤクルト3位が、度会隆輝選手の父親・博文氏(中央学院大、現ヤクルト球団広報担当)なのも、何かの“因縁”というものかもしれない。