日本ハムはクレバーな投手と三遊間。

〔日本ハムファイターズ 2020年ひとりドラフト指名選手〕
外れ　投手　伊藤大海（苫小牧駒大）　176cm82kg　右投左打
1位　投手　中森俊介（明石商高）　182cm83kg　右投左打
2位　三塁手　牧秀悟（中央大）　178cm81kg　右投右打
3位　遊撃手　相羽寛太（静岡高）　177cm76kg　右投右打

〔総評〕
　正真正銘の「道産子選手」から久々のドラフト1位が誕生しそうな2020年ドラフト。

　一度は「本校」の駒澤大に進学したものの、肌が合わずに北海道に戻り、イチからやり直して2年生の全日本大学選手権で、立て続けに150キロ前後を連発。高速スライダーにシンカーで、強豪相手にドッシリと立ちふさがった投球は、鮮烈な記憶になっている。

　昨季15勝のエース・有原航平は君臨しているものの、オリックスから転じた金子弌大が今季37歳……という日本ハムにとって伊藤大海はうってつけの「ドラ1」だったが、痛恨の抽選負け。

　無念の矛先を、明石商高・中森俊介に向けた。

　打者の顔色を見定めながら、出力を加減して投げられるクレバーな要素は、エース・有原に通じるものだ。力任せの一方的なピッチングではなく、カーブ、チェンジアップで緩急を駆使しながら、打者のタイミングを外し、フルスイングを許さない。投手の“本質”をしっかり踏まえて、人間的にも「逸材」と見ている。

　2位・牧秀悟は「三塁手」として指名した。

　学生ジャパンでは不動のクリーンアップをつとめ、変化球でタイミングを外されたり、内角をきびしく突かれても、なんとかヒットにしてしまうバットコントロールとヘッドスピード。

　チームには、近藤健介という「バッティングの名人」が君臨するが、牧には右打ちの打撃名人になれる資質を感じる。

　中央大では二塁、遊撃とこなしてきたが、チーム事情からも、レギュラー不在の「三塁手」が適役と見る。

　その牧と将来、三遊間を組むイメージを描きながら、3位に相羽寛太を選んだ。

　関西風にいうと、シュッとした遊撃手。ユニフォームがピタッときまったスリムなシルエット。さらに、スピーディーかつスマートな身のこなし。スター性抜群の「かっこいい」遊撃手だ。

　細身だからと甘く見ていると、タイミングが合った時の左中間方向へのライナー性の飛距離に驚かされる。腕っぷしより、全身のバネの瞬発力を飛距離や打球のスピードに置き換えるタイプ。

　三遊間から刺せる強肩と50ｍ5秒9の機動力、飲み込みの速さに卓越した頭の良さ。

　指名の瞬間、獲り逃がしたチームのテーブルから上がるうなり声が聞こえてくるようだ。