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東京五輪延期の先に見えた光。
OA枠は遠藤航こそふさわしい理由。
text by
本田千尋Chihiro Honda
photograph byGetty Images
posted2020/03/29 19:00
ブンデス2部の首位との対戦となった3月上旬の試合。遠藤航は中盤を支配し、リーダーシップもしっかり発揮していた。
監督が変わっても問題なく課題をこなす。
あまり高い位置を取らずに、しっかり後ろでボールを動かしながら前に付けていくところは、バルター前監督の下でアンカーとしてプレーしていた時と変わらないようだ。しかし2ボランチになったことで、縦の運動量が増え、ボーフム戦では遠藤も前に上がってシュートを打つ場面があった。
前監督の戦術に比べて、新しい指揮官の「やり方はそんなに難しくない」のだという
「前の監督は4バックの選手がアンカーのところに入っていったり、そういう戦術をおきましたけど、今の監督はオーソドックスに後ろが3枚なのか4枚なのかというのを攻撃の時に決めながら、どういう風に狙いを持ってボールを動かすかは、はっきりしていますね」
チームの要になりつつある遠藤。
いずれにせよ遠藤は、高い戦術理解力をもって、新監督の戦術に「適応」している。2月5日に行われたDFBポカールのベスト16、対レバークーゼン戦ではセンターバックとして難なくプレー。試合後には次のように振り返った。
「元々ずっとやっていたポジションですし、久しぶりにやりましたけど、中盤よりプレッシャーもないし、基本的には落ち着いてプレーできたと思います。チームとしてCB、後ろから繋いでいく部分、プラス、トップのディダ(ダニエル・ディダビ)だったり、2シャドーを上手く使いながらビルドアップしていくところで、長いボールも使いながら自分のところで上手くできたかなと思います」
このように、昨年11月に出場機会を確保してから、瞬く間に中盤の要となった遠藤は、その“多様性”を存分に発揮している。アンカー、2ボランチ、そして時にはセンターバックと複数のポジションをこなす多才な働きぶりで、シュトゥットガルトの昇格争いに貢献しているのだ。
もちろんこのマルチな能力を、日本代表に還元することもできるだろう。特に東京五輪日本代表のオーバーエイジには、遠藤こそが適任なのではないか。