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東京五輪延期の先に見えた光。
OA枠は遠藤航こそふさわしい理由。
text by
本田千尋Chihiro Honda
photograph byGetty Images
posted2020/03/29 19:00
ブンデス2部の首位との対戦となった3月上旬の試合。遠藤航は中盤を支配し、リーダーシップもしっかり発揮していた。
アンカー、2ボランチ、CBとこなしてきた。
移り変わりがはやいフットボールの世界――。
昨年の11月にレギュラーの座を掴んだ遠藤は、以来単に主力としてフル稼働するだけでなく、“多様性”をピッチ上に示してきた。
12月末に監督がティム・バルターからペッレグリーノ・マタラッツォと変わる中で、アンカー、2ボランチ、そして時にはセンターバックと、複数のポジションをこなしてきた。
唐突な例えになるが、もしイビチャ・オシムが日本代表監督だった時代に、現在の遠藤がプレーしていたら、重用されていたのではないか。阿部勇樹とポジションを争っていたかもしれない。サラエボ出身の指揮官は“ポリバレント”という言葉を好んで使った。
「いろいろ考えながらプレーしていますけど……」
もちろん複数のポジションをこなすことができるのは、遠藤が“柔軟性”を持ち合わせているからだろう。それぞれのポジションに配置された時に、何を考えてどう動くべきか、頭の中を適切に切り替えることができるようだ。
バルター前監督の下でアンカーを任されていた頃、昨年12月16日のダルムシュタット戦の後では、次のように話している。
「アンカーをここまでずっとやるのも初めての経験なので、この数試合、自分の中でどういうポジショニングを取ったらいいのかということを意識しています。試合ごとに良くはなっていると思うし、どういうところにポジション取りをしたらCBが僕に付けやすいのか、いろいろ考えながらプレーしていますけど、その辺は良くはなっているとは思います。
試合中にもう少し付けてほしいなっていう場面は何回かありましたけど、そこは周りに要求していきながら、やっていければいいと思います」