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東京五輪延期の先に見えた光。
OA枠は遠藤航こそふさわしい理由。

posted2020/03/29 19:00

 
東京五輪延期の先に見えた光。OA枠は遠藤航こそふさわしい理由。<Number Web> photograph by Getty Images

ブンデス2部の首位との対戦となった3月上旬の試合。遠藤航は中盤を支配し、リーダーシップもしっかり発揮していた。

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本田千尋

本田千尋Chihiro Honda

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 誰よりピッチの上でマルチな存在感を放っている。

 新型コロナウイルスの脅威が静かに迫りつつあった3月9日、ブンデスリーガ2部第25節。今となっては夢幻のような、メルセデスベンツ・アレナが5万を超える観衆で膨れ上がっていた頃――。

 シーズン前半戦はベンチで見た首位のチームとの攻防戦を、半年後はレギュラーとして戦い抜いた遠藤航は、次のように振り返った。

「もちろん監督が変わったりした中で、適応しないといけないことはありましたけど、やっぱりこういうホームの素晴らしい雰囲気の中でプレーできることは、素晴らしいことだと思います。ホームの試合は、毎試合毎試合モチベーションが上がりますね」

 対ビーレフェルト戦で、遠藤は先発フル出場する。敵のセンターFWファビアン・クロスとトップ下のマルセル・ハルテルのマークを交互に受けながら、遠藤はアンカー気味にプレー。ボールを引き出して、正確に繋ぎながら、VfBシュツットガルトの攻撃を中盤の底から支えた。

 途中からは「お互い感覚は似ている」という“相棒”のオレル・マンガラとツー・ボランチ気味にシフト。遠藤にハルテルが食いつけば、フリーになったマンガラがビルドアップのパスを受ける、といった具合だ。

 こうして試合中の“修正力”を見せた日本代表MFは、守備面でも奮闘。ボールを失ってカウンターを食らう場面もあったが、セカンド・ボールを拾い、1対1の局面でも強さを発揮した。

地元ファンからも声援も熱く。

 '19年の8月にシント・トロイデンから1年間の期限付きで加入して、およそ7カ月。今では完全に中盤の“顔”として定着している。

 メルセデスベンツ・アレナの記者席のすぐ後ろは観客席なのだが、日本人MFがボールを捌くと「エンドウ!」といった掛け声や、「エレガント」といった賞賛の声まで聞こえた。

 遠藤は、過去にブンデスリーガ優勝経験もある名門のファンの心も掴みつつあるようだ。

【次ページ】 アンカー、2ボランチ、CBとこなしてきた。

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