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東京五輪延期の先に見えた光。
OA枠は遠藤航こそふさわしい理由。
text by
本田千尋Chihiro Honda
photograph byGetty Images
posted2020/03/29 19:00
ブンデス2部の首位との対戦となった3月上旬の試合。遠藤航は中盤を支配し、リーダーシップもしっかり発揮していた。
遠藤をOA枠に推す、これだけの理由。
金メダルを目指しているというオリンピックの代表チームは、18人という決して多くはない人数で、決勝までの6試合を戦わなくてはならない。
試合の間隔も、グループリーグの初戦から準決勝まで中2日。そして準決勝から決勝までの間も3日と、なかなかのハードスケジュールだ。
チャンピオンズリーグも並行して戦う欧州のビッグクラブのシーズン中の日程の方が、まだ少し余裕があるのではないか。
たしかに五輪は17日間と短期決戦だが、これだけの過密日程をレギュラーを固定して戦い抜くのは無理があるだろう。怪我人や警告の累積で離脱者が出る可能性も十分考えられる。よって試合毎にメンバーを少しずつ入れ替え、ローテーションを組む必要が出てくるわけだが、東京五輪の戦いでは、ベンチメンバーも含めた日本の“総合力”が問われるのは間違いない。そこで“ポリバレント”な選手が、どうしても必要になるのだ。
よって、これまでシュトゥットガルトで示してきた戦術理解力の高さ、試合中の修正力、監督交代後の適応力、何より“多様性”を振り返っても、やはり遠藤は東京五輪のオーバーエイジに相応しいのではないか。
五輪延期をプラス要素に変えられるかも!
既に'16年、リオデジャネイロ五輪を戦ったことがある経験も大きい。'12年のロンドン五輪では、その前回大会の北京五輪代表だった吉田麻也がオーバーエイジとして招集され、ベスト4進出に貢献した。キャプテンとして1度オリンピックを戦ったことがあり、その時はグループリーグで敗退してしまったからこそ、遠藤には周囲に伝えられることがあるのではないだろうか。
3月24日、東京五輪の1年程度の延期が決定した。
ブンデスリーガ2部は、シュツットガルトがビーレフェルトと1-1のドローに終わった第25節以来、新型コロナウイルスの影響で中断に入っている。一応、中断期間は4月30日までとなっているが、感染の拡大に歯止めが掛からない今、再開の時期は不透明だ。しかし、リーグ戦が無事再開し、シュツットガルトが1部復帰を決めれば、来季、遠藤はさらにハイレベルな経験を積むことができる。
ブンデスリーガの舞台でもマルチな存在感を放つことができれば、遠藤は、必ず東京五輪で金メダルを目指す日本代表の助けとなるはずだ。