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差別と戦ったミーガン・ラピノー。
女子バロンドールの闘士の素顔とは? 

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クリストフ・ラルシェ

クリストフ・ラルシェChristophe Larcher

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photograph byBenjamin Schmuck/L'Equipe

posted2020/03/22 11:50

差別と戦ったミーガン・ラピノー。女子バロンドールの闘士の素顔とは?<Number Web> photograph by Benjamin Schmuck/L'Equipe

アメリカ・シアトルの街での取材。トロフィーと共にインタビューに応じてくれたミーガン・ラピノー。

「私は自分を活動家だと思っていて……」

――このバロンドールは、ワールドカップ最優秀選手に与えられたというよりも、マイノリティへの差別と闘い、ドナルド・トランプを公然と非難するひとりの女性に与えられたのだと思いますか?

「そのふたつに対してだと思う。私は自分を活動家だと思っていて、その部分は決して切り離すことができないから。

 もちろん優れたサッカー選手であるのは間違いないけど、他方でピッチの外での活動も支持を得ている。人々は私が彼らの抱える社会問題の解決策を与えていることを理解している。その効果はすでに現れている。

 オーストラリアで起こったこと(オーストラリア協会は、男女代表チームのボーナスや扱いをすべて同じにした)を見ればそれは明らかでしょう。

 要は女性たちに、より強くより高い声で言葉を発する力を与えたい。だから私はアダ(=ヘゲルベルク。2018年バロンドール受賞者)を尊敬している。彼女は女子代表の環境改善を訴えて協会と戦ったから」

――女子バロンドールの投票委員たちは、アジテーターには目がないですから……。

「その言葉は喜んで認める。状況を改善していくために、自分のたちの地位や評判をこれからもどんどん利用していきたい」

「私の予定表は滅茶苦茶(笑)」

――ではあなたは、トップレベルのアスリートとしての生き方と、様々な分野の“ミリタン(社会活動家・闘士)”としての生き方をどう結びつけていますか?

「私の予定表は滅茶苦茶(笑)。旅から旅へと動き回り、その間にメッセージを発しながらさらに考える……。でもそれは、私やパートナーたちのモチベーションにもなっている。

 協会にワールドカップの男女同額ボーナスを求めた私たちの戦いは着実に成果をあげた。そこで戦い抜いたという自信が、ピッチ上のパフォーマンスにもしっかりと反映された。絶対に優勝するという決意を固めて、大会に臨むことができた」

【次ページ】 アメリカという国が持っている妄想とは?

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