フランス・フットボール通信BACK NUMBER
差別と戦ったミーガン・ラピノー。
女子バロンドールの闘士の素顔とは?
text by
クリストフ・ラルシェChristophe Larcher
photograph byBenjamin Schmuck/L'Equipe
posted2020/03/22 11:50
アメリカ・シアトルの街での取材。トロフィーと共にインタビューに応じてくれたミーガン・ラピノー。
「間違いなく生涯最高の年だった」
――大会得点王と最優秀選手の両方を手にしました。
「間違いなく生涯最高の年だった。2016年リオ五輪の後、自分のキャリアを高めるためにサッカーにさらに集中しようと決意した。練習に真摯に取り組み、食事にも細心の注意を払うようになった。代表に選ばれてから10年あまり経ったけど、これまでより素晴らしい最高の自分を見せたかった。そんな気持ちでワールドカップに出場した」
――その想像通りになったわけですね。
「実際、素晴らしいプレーを披露できたと思う。フィジカルコンディションは最高で身体はキレていたし、どうすれば決定的な仕事ができるかもよくわかっていた。もっと前からこうなることもできたはずだった。『フランス・フットボール』誌が、女子バロンドールを数年前に創ってくれればよかったのに! 3~4年前から私は、ピッチ内よりも外でより積極的にコミットしていたから」
「熱狂的な雰囲気のなかで、私は自分を超越できた」
――どういうことですか?
「自分のことはよくわかっているし、プレーでも強く意識している。大胆に、自分本来のプレーをする。熱狂的な雰囲気のなかで、私は自分を超越できた。
この夏(2019年の夏)、4万5000人の観衆の前で自分を表現できたのは、信じられないほどの幸運だった。その結果として“パフォーマー”としての意識がより強まり、単なるアスリートの枠を超えて何かを創造しつつあるアーティストであると感じるようになった」
――ポップスターということですか?
「私たちはエンターテイメントビジネスの中にいて個人的な表現活動をおこなっている。
もちろん純粋にプレーへのかかわりもあるけど、スポーツには何百万人もの人々に喜びを与えるという側面もある。その意味で私たちのアメリカ代表は完ぺきだったといえる。
ピッチ外での協調と一体感が、試合ですべてを覆すことを可能にした。
メディアに話題の中心として取り上げられ、観衆から熱烈なサポートを受け続けるのは心地よかった。おかげで私たちは勝利を得て、ロックスターのような存在になった。凄いことでしょう!」