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安田記念馬が初ダートで完勝。
矢作師に導かれモズアスコット復活。 

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平松さとし

平松さとしSatoshi Hiramatsu

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photograph bySatoshi Hiramatsu

posted2020/02/03 19:00

安田記念馬が初ダートで完勝。矢作師に導かれモズアスコット復活。<Number Web> photograph by Satoshi Hiramatsu

芝ダートGI制覇も期待されるモズアスコット。フェブラリーSと安田記念を両方制覇すれば、'02年アグネスデジタル以来の快挙となる。

矢作師もルメールもしてやったり。

 管理する矢作調教師に初ダートでも勝てるという自信はどのくらいあったのか? と尋ねると、昨年の年度代表馬リスグラシューを管理した伯楽は答えた。

「母系からダート自体はこなしてくれると思いました。それよりも状態面がどうかと思いました。元々休み明けが良いタイプではないので、その方が心配だったんです」

 指揮官がそう語るように母の父はHennessy。アメリカのダート戦線で活躍した馬で、日本では2007年のフェブラリーS(GI)を優勝したサンライズバッカスの父でもある。

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 矢作調教師と同様の見解を示したのが手綱を取ったルメール騎手だ。

「僕がこの馬の調教で乗ったのはウッドチップコースだけです。だからダートでの走りはやってみないと分からないというのが正直なところでした。でも、お母さんの血統から走っておかしくないと思いました」

 そこでこのナンバー1ジョッキーに改めてレースを振り返っていただいた。

「ゲートで座りそうになって出遅れてしまいました。でもその後は大丈夫でした。砂を浴びてもそんなに怯まなかったし、良い脚を長く使ってくれました」

 そして、ニコリとして、続けた。

「何よりも“さすがヤハギセンセイ”という感じです」

2018年には連闘で安田記念制覇。

 正にその通りである。再三記しているようにモズアスコットは一昨年、安田記念を優勝している。その時も多くの人は驚かされたことだろう。

 当時はオープン特別の安土城Sで2着に敗れた後、連闘でのGI挑戦。9番人気の支持でしかなかったが、直線グイグイ伸びて早目に先頭に立ったアエロリットをクビ差かわし初のGI制覇を飾ってみせた。そんなGIホースを今回はダート戦で走らせ、またしてもアッと言わせる結果を残してみせた。

 矢作調教師は言う。

「普通は芝でGIを勝った馬をダートに使うのは出来ないですよ。負ければ何を言われるか分からないですからね。まぁ、僕は負けても恥ずかしいことではないと思っているからやりましたけどね」

 それでしっかりと結果を残すのだからルメール騎手でなくても“さすが!”と感服させられるわけだ。

【次ページ】 芝に見切りをつけたわけではない。

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