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安田記念馬が初ダートで完勝。
矢作師に導かれモズアスコット復活。
posted2020/02/03 19:00
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph by
Satoshi Hiramatsu
2月2日、東京競馬場で根岸S(GIII、ダート1400メートル)が行われ、優勝したのは3番人気のモズアスコット(牡6歳、栗東・矢作芳人厩舎)だった。
当日は快晴で良馬場。1番人気に推されたのは昨年のこのレースの覇者コパノキッキング(せん5歳、栗東・村山明厩舎)。昨年の当レース優勝後は藤田菜七子騎手が手綱をとりフェブラリーS(GI)5着後、東京盃(JpnII)やカペラS(GIII)を勝利するなど、重賞戦線で常に好走を続けていた。
今回は昨年このレースを制して以来のコンビとなるオイシン・マーフィー騎手を鞍上に迎え、単勝1.9倍の圧倒的1番人気に支持された。
結果的に優勝するモズアスコットは単勝9.9倍の3番人気。一昨年の安田記念(GI)の覇者だが、今回が初めてのダート戦という事を考慮すればこれでも支持された方かもしれない。騎乗するのは安田記念を優勝した時と同じクリストフ・ルメール騎手だった。
レースはそのモズアスコットが出遅れる形。初めてのダート戦が重賞で、しかもスタートで立ち遅れたとなると、まず苦戦は必至と思われた。芝よりもキックバックの激しくなるダート戦では、後方から追い込みが決まる確率はずっと低くなる。前の馬が蹴り上げる砂を初めて経験する馬の勝率が下がるのは当然だろう。
しかし、そんな過去のデータはこの日のモズアスコットには通じなかった。
コパノキッキングを差し切った。
ルメール騎手はすぐに挽回し、向こう正面では中団につけた。それでもそのままの勢いで突っ走ることはなく、中団で落ち着くとその位置をキープしながら3コーナーをカーブし、4コーナーへ向かった。このあたりから徐々に前との差をつめると、直線の入口ではもう先頭との差をだいぶ縮め、先行勢を射程圏に入れた。
とはいえ、最後方からのスタートでここまででもだいぶ脚を使っている。最後にどのくらい伸びるか? と思われたが、外野のそんな心配をよそに出走馬中唯一のGIホースは最後まで脚を伸ばし続けた。
2番手から直線へ向くと先頭に立ったコパノキッキングは連覇までラスト400メートル、更には100メートルとしたが、そこで外から襲いかかってきたのがモズアスコット。一気に先頭に立つと最後は2着コパノキッキングに1と1/4馬身差をつけ、2018年の安田記念以来となる勝利を飾った。