草茂みベースボールの道白しBACK NUMBER
中日が負けた理由が見つからない。
優勝、Aクラスに必要な3人の成長。
posted2020/01/02 11:30
text by
小西斗真Toma Konishi
photograph by
Kyodo News
第8回は与田体制1年目を終えた中日ドラゴンズ。データを振り返るとAクラス入りしてもおかしくはない数字が……。来季の課題とキーマンに挙げる3人とは?
ひと言で表現すれば、負けた理由が見つからない。
2019年シーズンのドラゴンズは5位に終わり、7年連続Bクラスとなった。しかし、チーム打率は.263でリーグ1位。打撃陣だけでなく、投手力もチーム防御率3.72はリーグ3位ながら、544失点はリーグ最少だった。失点が最少で防御率が3位なのは、非常に優れた守備力があったからだ。
チーム45失策は2004年の記録に並ぶリーグ記録。守備率.992はリーグ記録を塗り替えた。つまり、チーム防御率の順位は守備のミスによる失点(非自責点)が少なかったことを表しており、攻・守・投に高い能力を示したのである。
就任1年目だった与田剛監督は「勝たせてあげられなかった」とベンチワークの非を認めていた。ヒットを打つ、しっかり守る、失点を防ぐという野球の3大要素を選手たちは実践していたのだから、あながち選手をかばうためだけの発言ではなく、的を射ている可能性がある。
求められるベンチの手腕。
まず「ヒットが得点に結びついていない」という問題点。チーム総得点563は、リーグ5位だった。理由として本塁打(90)、四球(349)がリーグ最少だったことが考えられるが、作戦、用兵でもう少し補えたのではないか。それでも得失点差がプラスなのは、セ・リーグでは優勝した巨人(プラス90)と中日(プラス19)だけ。本塁打が少なくても、試合の運び方に工夫があればAクラスは入って当然であった。
致命傷となったのは「投手戦の弱さ」である。投手が3失点以内に抑えたのに負けた試合が24もある一方で、打線が3得点以内で勝ったのは18試合(引き分けが2)しかない。広いナゴヤドームをホームグラウンドとし、2019シーズンはマウンドも投手が好むメジャー仕様に変更した。伝統的に投手力を前面に押し立てて戦ってきたチームカラーを思えば、少なくともこの勝敗は逆でなければいけないだろう。ロースコアの試合をものにできるかどうかは、ベンチの手腕によるところが大きい。
「勝たせてあげられなかった」ことを来季に生かしてもらいたい。