酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
松井裕樹の先発転向はどうなる?
リリーフからの成功例は少ないが。
posted2020/01/03 11:30
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Kyodo News
楽天の松井裕樹が、4年という大型契約を結ぶとともに、先発への転向を表明した。
楽天は来季、唯一規定投球回数に到達した美馬学がロッテに移籍する。則本昂大、岸孝之の両エースは故障あがりだ。ロッテから涌井秀章の移籍が決まったが、若手の先発の柱がほしいチームの思惑と、「いつかは先発」と思っていた本人の意向が一致したようだ。
もう7年も前になるが、2012年夏の甲子園での桐光学園2年、松井裕樹の快投は凄まじいものだった。
1回戦 ◯今治西
9回2被安打22奪三振3四死球 失点0
2回戦 ◯常総学院
9回6被安打19奪三振3四死球 失点5
3回戦 ◯浦添商業
9回4被安打12奪三振3四死球 失点1
準々決勝 ●光星学院
9回6被安打15奪三振3四死球 失点3
1、2回戦と2試合連続毎回奪三振。大会通算68奪三振は、左腕投手としては夏の甲子園最多。奪三振率(K9)は、驚異的な17.00だった。
勢いのある速球もさることながら、キレキレのスライダーは「高校生ではバットに当てるのも無理だろう」と思ったものだ。
2年目からクローザーとして活躍。
3年夏は神奈川県大会で敗退したが、むしろこれで甲子園での酷使を逃れたことがよかったのかもしれない。2013年ドラフトでは、5球団が競合したが楽天が指名権を得る。MLBに挑戦した田中将大と入れ替わる形で楽天入りした。
1年目は先発だったが、2年目からクローザーに転向。以後、ここまで139セーブを上げてきた。今やDeNAの山崎康晃と並ぶNPBを代表するクローザーとなった。
ただ、松井が先発に転向したいと考える気持ちもよくわかる。