草茂みベースボールの道白しBACK NUMBER
中日が負けた理由が見つからない。
優勝、Aクラスに必要な3人の成長。
text by
小西斗真Toma Konishi
photograph byKyodo News
posted2020/01/02 11:30
「勝たせてあげられなかった」と自らの責任を認めた与田監督。2019年の反省を来季に生かしてほしい。
一軍の壁も味わった根尾。
かつての黄金期は今や昔。12球団で最も「CSから遠ざかっている球団」になってしまった。しかし、各部門の数値が優れているということは、もちろん暗闇を照らす出口の光に違いない。たどっていけば、必ず脱出できる。その光を広げるための投打のキーマンをあげたい。
まずは根尾昂である。’19シーズンはウエスタン・リーグでは最多の444打席を与えられ、打率はブービーの.210。2本塁打、33打点で、127三振、遊撃手としての24失策もリーグ最多だった。一軍にはシーズン終盤に昇格し、甲子園での阪神戦で2打席立った。ピアース・ジョンソンと対戦したデビュー戦ではストライクを2球見逃し、3球目のカーブでハーフスイングを取られ、三振。左投手の岩崎優と対戦した2打席目は、7球中6球をスライダーで攻められ、なんとか3球ファウルするのが精一杯で、やはり空振り三振に倒れた。
前に飛ばすことなく一軍の壁を思い知らされたが、シーズン終了後には外野守備に挑戦し、出場への可能性を広げつつある。派遣された「アジアウインターベースボールリーグ」では、打率・259、4打点。風の強い屋外球場でフライを追う経験を積めた。
「このオフの過ごし方が大切だと思っています。開幕だけではなく、シーズンを通して自分の思ったとおりに進めるよう、しっかり準備したいです」
オフは先輩平田とトレーニング。
福井県のバット工場にも足を運び、30グラムのサイズアップを決断した。遊撃にはリーグでも指折りの守備力を誇る京田陽太がおり、普通に考えれば根尾のつけいるすきはない。外野も'19シーズン最多安打の大島洋平や大阪桐蔭の先輩・平田良介ら実力者がひしめく。根尾が「大切」と言ったこのオフは、その平田に誘われてロサンゼルスでトレーニングすることが決まっている。
内野にせよ外野にせよ、根尾には打力の飛躍的な向上が求められているが、数値はリーグ屈指ながら勝ちきれないチームが、状況を打ち破るとしたら超新星が誕生したときではないか。期待を込めて打のキーマンに推したい。