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ベルマーレ残留の今、騒動を考える。
美談でなくJリーグが先に進むため。 

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川端康生

川端康生Yasuo Kawabata

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photograph byGetty Images

posted2019/12/25 08:00

ベルマーレ残留の今、騒動を考える。美談でなくJリーグが先に進むため。<Number Web> photograph by Getty Images

参入プレーオフの末にJ1残留を果たした湘南ベルマーレ。所属する選手には能力があるからこそ、2020年の逆襲に期待したい。

事態の推移を追って気になったこと。

 擁護するつもりはないが、それでも事態の推移を追う中で気になったことを(今後同じようなケースが起きた際に役に立つかもしれないので)、経緯を辿りながら指摘してみたい。

 サッカー協会の暴力根絶相談窓口に被害の訴えがあったのは7月2日だった。まず電話で、翌週10日に書面で、いずれも匿名での通報だった。内容を重くみたJリーグは弁護士による調査を行うことを決定。湘南に伝えた。

 ただし、この時点では通報内容は知らせていない。Jリーグから湘南へは、ヒアリング調査への協力(とその日程調整)を伝えるだけに留めている。これは通報者保護の観点から理解できる。

 しかも通報にはクラブのガバナンスに関する内容(被害をクラブ幹部に相談しても黙殺される)も含まれていた。だからこそ、クラブ自身に調査させるのではなく、リーグが調査に乗り出すことにした。

 つまり、この時点で湘南は「監督によるパワハラ行為」をまだ認識していない。だからJリーグから連絡は受けたものの、何の調査かわからないまま、それまで通りに活動を続けていた。もちろん曹監督もそれまで通りに指導していた。

通報から半月以上経って。

 そんな中で発生したのが「全治8カ月の怪我」だ。リーグの中断期間を利用して7月24日から27日まで行われた福島キャンプで起きた。

 着目したいのはタイミングである。すでに通報から半月以上経っている。にもかかわらず、また新たな被害を生んでいるのだ。

 問いたいのは、何を大事にするかである。通報があった。事態の重要性を認識した。しかもパワハラ(が疑われる行為)は進行中である。ならば、選手であれ、スタッフであれ、新たな被害者を生まないようにすることこそが大事だったのではないか。

【次ページ】 何らかの手立てが講じられれば。

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