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ベルマーレ残留の今、騒動を考える。
美談でなくJリーグが先に進むため。 

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川端康生

川端康生Yasuo Kawabata

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photograph byGetty Images

posted2019/12/25 08:00

ベルマーレ残留の今、騒動を考える。美談でなくJリーグが先に進むため。<Number Web> photograph by Getty Images

参入プレーオフの末にJ1残留を果たした湘南ベルマーレ。所属する選手には能力があるからこそ、2020年の逆襲に期待したい。

心中に同情はする。ただし……。

 最後に改めて湘南について。

 パワハラ疑惑が報じられてからの4カ月間、チームやサポーターが置かれた状況は過酷だったと思う。どんよりとした曇り空の下を、宙ぶらりんの気持ちを抱えながらさまよい歩くような日々だったと思う。

 その心中には同情する。だが、同情はするが、擁護はできない。報道を機に騒動に巻き込まれたことでメディアを批判する人がいるが、それはおかしい。誤報ではない。結果的に「パワハラ」は自らも認定することになる事実だったのだ。

 湘南のグランドで、馬入のクラブハウスで、そんな行為があったから、通報があり、報道があった。その現実から目を背けて、責任をメディアに転嫁していては何も変われない。

 チームが勝てなくなったのはその程度の力しかなかったからである。バラバラになったのはその程度の一体感だったからだ。最後の最後、チームがまとまることができたのは目の前に降格の危機があったからだと思う。

 瀬戸際でのJ1死守を「湘南スタイルの復活」と美談でまとめる人もいるが、僕にはそうは思えなかった。

 だから――ベクトルを自分に向けろ!

 曹監督がしばしば口にしていたフレーズで結ぶ。そう言っていた彼自身が「チクったのは誰だ」と通報者探しをしていた。控えめに言って失望した。おかげで虚しさとも向き合わなければならないオフになった。

 J1は死守した。けれど、弱さも醜さも晒し、むしろ失ったものが多いシーズンだった。
 

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