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早稲田大→慶応大ラグビー部コーチ。
なぜ三井大祐は異例の道を歩んだか。 

text by

清水岳志

清水岳志Takeshi Shimizu

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photograph byMasashi Oda

posted2019/12/20 15:00

早稲田大→慶応大ラグビー部コーチ。なぜ三井大祐は異例の道を歩んだか。<Number Web> photograph by Masashi Oda

早稲田ラグビーで育ち、慶応ラグビーをコーチングする三井大祐。彼のようなキャリアを歩む人は珍しいだろう。

チャレンジが魅力的だった。

 早稲田は2018年、対抗戦で優勝を果たしたものの、大学選手権は準決勝で敗退してシーズンを終えた。そして1週間後、決断の報告を相良にする。

 決め手は何だったのか。

「本能のようなもの。栗原さんのやろうとしているチャレンジが魅力的だった。そこに自分が必要とされ、携われるチャンス、わくわく感ですね。そう、本能で挑戦したいと」
早稲田でできないのかと言われるとわからない。違うチャレンジがあったかもしれない。人の決断は本能に委ねられるのだ。

 2019年2月、慶応の日吉グラウンドに向かった。

 確か、学生時代、練習試合をした記憶はあった。日吉の駅から歩く。道順はとうに忘れている。スマホのマップアプリ片手にたどり着いたそこは、赤土ではなくて人工芝になっていたが、そういえば、こんなグラウンドだった。

 与えられたポジションはバックスとディフェンスコーチだ。栗原には具体的なことより、とにかく一緒にやりたい、と言われた。

「何を評価されたのか、買われたのか言われたことないんです。自分も聞かないでいいかなと思ってる。栗原さんが感じたことなんで。僕も栗原さんから何か感じて行きたいなと思ったから」

限られた環境の中での工夫。

 性格で言うと似てないらしい。三井は几帳面で、きっちり決めた通りに物事を進める。栗原はラフだが効率的。要領がいいともいえるが肝は押さえている。“栗さん”と“ミッチー”と呼び合う2人のバランスがいいのだろう。

 物理的なことで言えば、慶応より早稲田の方が恵まれていた。グラウンド、ウエイトの施設、食事など。そして寮に入れる部員も早稲田が多い。それでも慶応は限られた中で工夫していることが分かった。

 選手は朝6時半からウエイトトレーニングがある。三井もグラウンドにきて顔を見て声をかける。ミーティングの資料作りなども朝が捗る。まずジュニアの練習があって、メンバーは夕方から2時間ほど。帰宅は10時前後になる。フルタイムコーチだが、どっぷりだ。もちろん、早稲田グラウンドのある上井草から日吉に引っ越して自転車で通っているという。

【次ページ】 22年ぶりに大学選手権を逃す屈辱。

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