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早稲田大→慶応大ラグビー部コーチ。
なぜ三井大祐は異例の道を歩んだか。 

text by

清水岳志

清水岳志Takeshi Shimizu

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photograph byMasashi Oda

posted2019/12/20 15:00

早稲田大→慶応大ラグビー部コーチ。なぜ三井大祐は異例の道を歩んだか。<Number Web> photograph by Masashi Oda

早稲田ラグビーで育ち、慶応ラグビーをコーチングする三井大祐。彼のようなキャリアを歩む人は珍しいだろう。

ニュージーランドにコーチ留学。

 5年間現役でプレーするが、2011年に転機が訪れた。目に大きな怪我を負う。ゲーム中、相手の肘が入り、目の筋肉がマヒして動かなくなってしまう大怪我になったのだ。1年間のリハビリと手術も、左右がぶれて焦点が合わないなど後遺症が残った。

 いつ治るかわからない苦しみ。限界は近い。引退は早まったが怪我したことが運命、いいタイミングだった。

 選手を退き東芝でコーチを4年務めた。コーチングの面白さを感じ始めてもいた。もっと深くつかって道を究めたい。

 ここでも挑戦を選ぶ。

「奥深さ、楽しさ、自分の未熟さを感じていました。飛び込まないと何も始まらない」

 東芝を退社して単身、2017年、ニュージーランドにコーチ留学する。南部の街、ダニーデンのオタゴというチームで修行した。オタゴのヘッドコーチがトニー・ブラウン(元三洋電機、オールブラックス)の弟のコーリー・ブラウン(現宗像サニックスブルース・ヘッドコーチ)という縁だった。

 11カ月後、帰国して「チャンスはないですか」と当時の早稲田のコーチに話すと運命が繋がった。また、中竹からもU-20日本代表のコーチも要請され、2018年は両チームに携わった。

栗原ヘッドコーチから思わぬ誘い。

 そのシーズン真っ只中のことを三井が明かす。

「栗原(徹・現慶大ヘッドコーチ)さんから最初に声をかけてもらったのが9月、大学のシーズンの開幕前でした」

 栗原も慶応のヘッドコーチ就任が発表されていない段階だ。

「想像もしてない、考えられないことでした。栗原さんもチャレンジですよね。早稲田の現役のコーチに声をかけるなんて、『そんなのありなん?』という驚き。また留学生に受験してもらおうと思ってると。日本ラグビーのルーツ校が思い切ったことをやろうとしてる。この人、すごいことを目指してるなと思いました」

 栗原とは以前、コーチ研修で何回か寝食を共にしたことがあって人間性に触れていた。心をつかむうまさ、ラグビーに対する深さを感じて学ぶことがたくさんある人。そんなイメージを持っていた。

 早稲田の相良南海夫監督には、迷ってます、と打ち明けた。相良とも何度か食事をして来季の構想やビジョンを聞いて、必要としてもらっている嬉しさを感じた。

【次ページ】 チャレンジが魅力的だった。

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