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選考基準は、デカいか、速いか。
「日本ラグビーは君に注目している」
posted2019/12/21 08:00
text by
多羅正崇Masataka Tara
photograph by
Masataka Tara
未完の大器を見つけ出せ――。
日本ラグビー協会のユニークな人材発掘が第3回を迎える。
未完成だが有望なサイズ、スピードを持つ全国の無名選手を集め、最先端のプログラムを指導する高校世代の人材育成合宿。通称「ビッグマン&ファストマン キャンプ」(Bigman&Fastman Camp)だ。
U17日本代表の経験者はいない。
ラグビー無名校の出身者も少なくなく、ラグビーを始めて半年に満たない者もいる。
しかし図抜けたサイズを持っている(ビッグマン)、もしくはスピード系の能力が抜群(ファストマン)。
そんな一芸に秀でた原石を全国から選りすぐり、2019年度の第6回TID(Talent Identification=人材発掘・育成)キャンプとして、12月21日から23日まで、京都・同志社大学京田辺キャンパスで合宿を行う。
スキーのジュニア王者、1回戦負けのプロップ。
今回参加する31人の高校生は、まさに原石だ。
競技歴は2年だが、中学時代にアルペンスキーの宮城県代表としてジュニア・オリンピックに出場した187cmのフランカー。
福岡からは、高校1年生ながら189cm124kgの巨漢ロック。福島からは、県予選1回戦で敗れたチームの181cm 119kgのプロップがやってくる。
東京のインターナショナルスクールには、最近までアメフトでアメリカ留学をしていた196cm130kgの高校2年生がいた。ラグビー歴はわずか3カ月だ。
キャンプ開催に尽力したのは、高体連ラグビー専門部副部長・天野寛之氏。企画した発起人は、元日本代表でラグビー解説者として知られる日本ラグビー協会リソースコーチの野澤武史氏だ。
「昨年4月頃から『身体の大きい選手、速い選手だけを集めてやってみよう』と動き出し、その年の12月に第1回を行いました」(野澤氏)
選考基準は、デカいか、速いかだ。
「プロップでは体重115キロ以上、ロックは身長190センチ以上、バックスは立ち幅跳びが280センチ以上か、40メートル走が5.0秒以内にそれぞれ準ずる選手です」