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伝統を繋ぐ早稲田大学が見せる底力。
中央大学の2020年は復活の礎となるか。 

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箱根駅伝2020取材チーム

箱根駅伝2020取材チームhakone ekiden 2020

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photograph byNanae Suzuki / Shigeki Yamamoto

posted2019/12/18 11:00

伝統を繋ぐ早稲田大学が見せる底力。中央大学の2020年は復活の礎となるか。<Number Web> photograph by Nanae Suzuki / Shigeki Yamamoto

中央大学

第96回箱根駅伝予選会:10位
第95回箱根駅伝(前回大会):11位
3年連続、93回目

Key person of the TEAM:畝拓夢(3年)

藤原正和駅伝監督の「秘蔵っ子」が挑む山上り。
波に乗って目標のシード権獲得へ。

文=生島淳

 第96回箱根駅伝予選会の順位発表で、いちばんドキドキしていたのは中央大学の関係者であっただろう。

 9位まで大学名がコールされることはなく、「ひょっとして……」と悪い予感さえよぎった。なんといっても、3年前には87回続いた本大会連続出場が途切れたという悪夢を経験している。だからこそ、10位で中央大学の名前がコールされると、涙を見せる選手たちもいた。

 11位の麗澤大学との差はわずか26秒。ひとり当たり3秒弱の差でしかなく、誰かがブレーキをしていたら、ひっくり返った差だった。

 就任4年目を迎えた藤原正和駅伝監督は苦戦はしたものの、この結果を前向きに捉えている。

「これまで、惜しいところでずっと涙を飲んできました。3年前の箱根駅伝予選会、今季の全日本大学駅伝関東地区予選会。いずれも次点でした。勝ち切れなかったチームが、なんとか26秒残して本大会に進むことができた。ポジティブに捉え、1月2日、3日につなげていきたいと思います」

 藤原駅伝監督が前向きだったのは、9位に入った早稲田大学同様、中大も攻めた結果がたまたま10位だった、と捉えているからだろう。

藤原監督が描く往路のプラン。

 中大は夏合宿から順調に練習を積み重ね、箱根駅伝予選会ではトップ通過も可能という手ごたえを監督、選手たちともに感じていた。自信があればこそ、箱根駅伝予選会でも選手たちは序盤から積極的にレースを展開した。

 ところが、暑さのせいで、積極策が裏目に出てしまう。後半に失速した選手が多く、5kmごとのスプリットタイムが16分30秒を超えた選手も出てしまった。それでもエースの森凪也(2年)は1時間3分58秒で全体15位、畝拓夢(3年)、三浦拓朗(2年)も1時間4分台でまとめるなど、上位層は突っ込んでも粘りのある走りを見せた。

 藤原駅伝監督はいう。

「当日の暑さを考えれば、レース前により慎重にレースを運ぶように私が指示を徹底させるべきでした。それでも、選手たちはトップ通過を狙い、その先の本大会を見据えて積極的なレースをしたこと自体は評価したいと思います」

 中大が最後にシード権を獲得したのは2012年のこと。目標とする10位以内を達成するためには、やはり往路で波に乗ることが必要だ。藤原駅伝監督はこんなプランを描く。

「今季、森はチームのエースとして着実に成長してくれました。学内では一度も負けたことがありませんでしたからね。森に加え、予選会で不調ながらも最終的にはまとめてくれた三浦拓朗、1、2年で箱根駅伝を経験している池田勘汰(3年)が往路でうまく流れを作ってくれればチャンスが膨らむと思います」

【次ページ】 山上りは「畝で勝負をかけます」。

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