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伝統を繋ぐ早稲田大学が見せる底力。
中央大学の2020年は復活の礎となるか。 

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箱根駅伝2020取材チーム

箱根駅伝2020取材チームhakone ekiden 2020

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photograph byNanae Suzuki / Shigeki Yamamoto

posted2019/12/18 11:00

伝統を繋ぐ早稲田大学が見せる底力。中央大学の2020年は復活の礎となるか。<Number Web> photograph by Nanae Suzuki / Shigeki Yamamoto

1年後、同区間で「21位」の悔しさ。

 昨年度はケガをしがちで、練習を順調に積み上げることが出来なかったが、相楽駅伝監督は太田の経験を買って同じ2区に起用。ところが序盤から精彩を欠き、1年前のタイムから3分以上も遅れての区間21位。

 最終的に早大は12位となりシード権を逃したが、10位の中央学院大学との差が1分16秒だったことを考えると、太田のブレーキが総合成績に影響したことは否定できない。

 悔しさ、つらさ。様々な感情が渦巻いただろう。

 しかし、主将になってからの太田の活躍は目覚ましかった。関東インカレの10000mでは6位に入り、箱根駅伝予選会もチームトップの16位。全日本大学駅伝では、競走の激しい2区で区間4位の好成績を収めた。

 太田はクールなリーダーだけに、箱根駅伝での希望区間は明言せず、「任された区間をしっかりと走りたいです」と謙虚な姿勢を崩していないが、走りで仲間を引っ張るリーダーシップは光る。

 11月23日に行われた10000m記録挑戦競技会では太田がレースを引っ張り、青学大勢、早大勢を引っ張った結果、早大では1年生の鈴木創士が28分48秒26、太田の弟である太田直希(2年)が28分48秒69、新迫志希(4年)が28分55秒78、宍倉健浩(3年)が29分7秒98といずれも自己ベストを更新、スピードの強化も順調に進んでいることをうかがわせ、大いに自信を深めた。

中谷、井川ら逸材は揃っている。

 こうして秋からのレースを概観していくと、今回の早大は、上級生と下級生がいい形で化学反応を起こせば、上位進出も十分に可能な陣容が整ってきたといえるだろう。

 10000m記録挑戦競技会で自己ベストを更新したメンバーだけではなく、下級生には中谷雄飛(2年)、井川龍人(1年)といった高校時代は世代ナンバーワンと呼ばれた逸材が揃っている。

 往路では太田、前回の箱根駅伝で1区を走った中谷、今季の全日本で1区を任された井川らが他校のエースと競うことになるだろうが、調整が順調に進めば、太田が2区を走る可能性は極めて高い。

 1区から先頭が見える位置でたすきをもらえば、2年前の好走の再現、いや、それ以上の走りが期待できそうだ。太田が「早大のエース」にふさわしい走りを見せられれば、往路で流れが生まれ、上位でレースを進めることができるだろう。

 太田にとって、最後となる箱根駅伝。

「W」のマークをつけて走るキャプテンは、早大の伝統をつなぐ大きな役割を背負っている。

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