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「母国、ゴルフ、マドリー」が物議。
ベイルとレアルの愛は尽きたのか。 

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吉田治良

吉田治良Jiro Yoshida

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posted2019/11/30 09:00

「母国、ゴルフ、マドリー」が物議。ベイルとレアルの愛は尽きたのか。<Number Web> photograph by Getty Images

ベイルは筋金入りのゴルフ好きで知られる。ラウンドする様子をマドリディスタ達はどんな気分で見つめるのか……。

肝心な時に故障を繰り返して。

 大小さまざまな故障を繰り返し、肝心な時にいつもピッチにいない。しかも休養を疎かにして、もはや趣味の域を超えたゴルフへの傾倒がコンディション不良の一因となっているとすれば、なおさら信頼など寄せられないだろう。

 打ち寄せる憎しみの波が、トッテナムから入団当初は砂の山のように盛られていた愛情を削り取っていく。

 チームに独善的な王様はいらないと考えるジネディーヌ・ジダン監督との関係性も、とても良好とは言えない。

 これまでベイルを寵愛するフロレンティーノ・ペレス会長に遠慮してきたジダンだが、今年3月の監督復帰後は補強に関する全権を得て、この夏には「明日、退団するなら、彼にとってはそのほうがいい」と、ついに三下り半を突きつけている。

ピッチに立てば違いを生み出すが。

 それでもベイルがマドリーに留まったのは、条件の合う売却先を見つけられなかったからであり、前線の核として期待していたマルコ・アセンシオが長期離脱、さらに新戦力エデン・アザールも故障で出遅れたからに他ならない。

 ただ、戦力外から一転、残留となったベイルだが、ピッチに立てば高い確率で違いを生み出した。

 セルタとの開幕戦でカリム・ベンゼマの先制ゴールをアシストすると、3節のビジャレアル戦では敗戦の危機を救う2ゴール。とりわけ、カットインから左足でニアサイドを打ち抜いた86分の同点弾は、その異能を証明する一撃だっただろう。

 しかし──。8節グラナダ戦でも、左足アウトサイドの美しいクロスでゴールをお膳立てするなど、ワールドクラスが集結するマドリーのなかでも、やはりベイルは特別な個であると再認識した矢先の故障離脱と、今回の“フラッグ騒動”である。

 またしても裏切られたサポーターの怒りは増幅し、そして移籍の噂が再燃した。

【次ページ】 ジダンは擁護しつつ突き放す?

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