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「母国、ゴルフ、マドリー」が物議。
ベイルとレアルの愛は尽きたのか。
text by
吉田治良Jiro Yoshida
photograph byGetty Images
posted2019/11/30 09:00
ベイルは筋金入りのゴルフ好きで知られる。ラウンドする様子をマドリディスタ達はどんな気分で見つめるのか……。
ロドリゴに拍手、ベイルは……。
ハンガリー戦から4日後のラ・リーガ14節、レアル・ソシエダ戦。その67分、久しぶりに白いユニフォームを纏ったベイルが、サンティアゴ・ベルナベウのピッチに足を踏み入れる。
代わってベンチに下がったのは、目下売り出し中のロドリゴだった。前途有望な18歳のニューアイドルへ贈る温かい拍手から、クラブへの忠誠心を欠く問題児にぶつける凄まじいブーイングへ──。その切り替えは、優秀なテレビ中継のスイッチャー並みに見事だった。
もしかしたら、究極の“かまちょ”なのだろうか。
そんな風に感じたのは、耳をつんざくようなブーイングにも顔色ひとつ変えず、むしろ胸を張ってプレーするベイルの姿を見たからだ。
非難の声には慣れっこになっていても、開き直っているわけではなさそうだ。たとえどんな形であろうと、自分にスポットライトが当たることに、視線を独占することに無上の喜びを感じる──。それがベイルという男なのかもしれないと、真面目にそう思った。
ロナウドのように結果を残せば……。
敵ではない。味方のサポーターからこれだけの罵声を浴びながら、眉ひとつ動かさないのだから、並大抵の心臓の持ち主ではないだろう。そうした図太さは、選ばれしスタープレーヤーのみが持つ資質でもあるはずなのだ。
ただ、その唯我独尊的なプレースタイルが、謙虚さのかけらもない図太さが、マドリディスタの神経をいちいち逆撫でする。
かつてのエース、クリスティアーノ・ロナウド(現ユベントス)のようにコンスタントにゴールを叩き出し、チームにいくつもの勝利をもたらしてくれるなら文句はない。それどころか絶対的な存在として崇拝し、迷うことなくフリーハンドを与えるだろう。
だが、ベイルは違う。