JリーグPRESSBACK NUMBER
J1優勝&残留争いで必見の役者たち。
“最終回”まであと2話、見どころは?
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byGetty Images
posted2019/11/28 10:30
熾烈な優勝争いもいよいよクライマックス。首位のマリノスは好調なアタッカーだけでなく、守備陣の奮闘も鍵となる。
磐田はプレーオフに懸ける。
J1残留争いは、二段階で考えるべきだ。
数字上は勝点38で11位のベガルタ仙台までの8チームが、残留争いの当事者となっている。しかし現実的には、勝点32で16位の湘南ベルマーレ、勝点30で17位の松本山雅FC、勝点28で最下位のジュビロ磐田の3チームによるサバイバルと見ていい。
J2上位チームとのプレーオフに出場する16位をつかむのは、どのチームか。J2へ自動降格するのはどの2チームか、である。
磐田は残り2試合に連勝しても勝点34なので、16位まで這い上がるのが精いっぱいだ。入れ替え戦に希望をつなぐしかない。それも、湘南と松本の結果次第である。かつての名門は、2度目のJ2降格を覚悟すべき立場にある。
踏み止まった湘南、焦点はGKの選択。
曹貴裁前監督の退任とともに成績が急降下した湘南は、前節のFC東京戦で連敗を6で止めた。終了間際の失点で勝利こそ逃したものの、J1残留の可能性をつなぎ止めた。
いずれも勝点36の浦和、サガン鳥栖、清水エスパルスのいずれか(もちろん2チーム以上でもいい)が2試合で勝点2以下に終わり、自分たちが連勝すれば勝点38で並ぶ。得失点差の勝負となる。残留圏内ギリギリの15位の清水とはマイナス24で並んでおり、白星を2つ並べればその必然として得失点差で上回る可能性が大きくなっていく。
得失点差の争いへ持ち込むためには、取りきる力と取らせない力が必要だ。だが、複数得点を記録したのは23節の鳥栖戦が最後であり、33節で対戦する広島はリーグで4番目に失点が少ない。
ここ2試合ほどはゴール前に人数をかける湘南らしさを取り戻しつつあるものの、ロースコアの攻防を制するプランの必要性が浮上してくる。そうなるとディフェンスが、とりわけGKの存在がクローズアップされる。浮島敏監督は31節から、富居大樹を2試合連続で起用している。絶対的な守護神の秋元陽太をベンチに置き、J1で出場経験のなかった30歳を抜擢するのは、「思い切った」という表現でも足りない決断だったと言える。
勝点1をホームに持ち帰った前節を受けて、引き続き富居を起用するのか。それとも、経験豊富な秋元に戻すのか。残留争いそのものにも影響を及ぼすキャスティングだろう。