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北九州J2昇格の“エンジン”高橋大悟。
清水を離れ、先輩の言葉を胸に。
posted2019/11/28 20:00
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takahito Ando
11月24日。ミクニワールドスタジアムは歓喜に包まれた。
J3第32節ギラヴァンツ北九州vs.カマタマーレ讃岐の一戦。4-0と快勝した北九州は、2試合を残して早々とJ2昇格を手にした。
歓喜の空間で屈託のない笑顔で飛び跳ねていたと思えば、顔を覆って号泣し、そこからまた笑顔に戻って仲間とはしゃぎ合う。北九州のMF高橋大悟はまさに全身でその喜びを表現していた。
今季途中の8月15日に清水エスパルスから育成型期限付き移籍で加入した高橋は、北九州にとって救世主の1人となった。加入してから12戦すべての試合に先発出場し、7ゴール2アシストと大暴れ。チームは10勝1敗1分けの快進撃を続けるなど、まさにチームの“エンジン”として大車輪の活躍を見せた。
昇格を決めた讃岐戦でも活躍。
高橋は昇格を決めたこの一戦でも、ゴールこそなかったが、立ち上がりからチャンスに絡み続けた。開始早々の5分にチームのファーストシュートを放つと、1-0で迎えた29分にはFW町野修斗とのワンツーで抜け出し、左足のシュート。惜しくも相手GKのファインセーブに阻まれたが、序盤からチームの攻撃を活性化させていた。
そして61分、左サイドのMF國分伸太郎からのサイドチェンジを鮮やかなトラップで受けると、絶妙なタイミングでゴール前に走り込んだFW町野へ、左足で柔らかなクロスボールを送る。町野が相手DFに倒されて獲得したPKをFW池元友樹が冷静に決めて、昇格を引き寄せる貴重な追加点を生み出した。
さらに72分にもビューティフルゴールの起点となった。この日、いい連係を見せていた右サイドバック野口航がスペースに駆け上がる姿を確認すると、ボールを左足で内側に置き、相手DFを食いつかせた。中へ仕掛けると見せかけて2タッチ目でMF加藤弘堅にバックパス。そのまま中央に入り込み、野口へのパスコースを空けると、加藤は迷わずダイレクトでボールを配球。野口もダイレクトでクロスを送り、ゴール前に走りこんだFW北川柊斗がシュート。高橋の動きをきっかけに3つのダイレクトプレーで生まれ、讃岐を突き放した。さらに4点目も、またもオーバーラップする野口との連係で崩すと、同じような形で北川が4点目を上げた。
後半に記録された3ゴールすべての起点となるなど、この日もMVP級の活躍を見せて、ミクスタの歓喜に彩りを持たせた。