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スターリング&ケインが中堅扱い?
注目のイングランド若駒を一挙紹介。
posted2019/11/26 11:40
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph by
Uniphoto Press
ロマン・アブラモビッチに買収された2003年以降、チェルシーはタイトルを義務づけられてきた。オーナーのリクエストに応えるため、歴代の監督は外国人の傭兵を優先して起用した。
ディディエ・ドログバ、アリエン・ロッベン、クロード・マケレレ、マイケル・エッシェン、リカルド・カルバーリョ、ペトル・チェフ、オスカル、ミヒャエル・バラック、エデン・アザールなど、クラブの歴史を彩る選手は外国籍が非常に多い。
イングランド人で脚光を浴びたのはフランク・ランパードとアシュリー・コールだけであり、下部組織からトップチームに駆け上がった者は、ジョン・テリーただひとりだ。
しかしいま、急速な変貌を遂げようとしている。
ランパード新監督の決断が奏功した。
ランパード新監督の下、フィカヨ・トモリ、メイソン・マウント、タミー・エイブラハムがレギュラーポジションを勝ち取った。
カラム・ハドソン・オドイも首脳陣の信頼を得ており、アキレス腱の故障から12月初旬復帰予定のルーベン・ロフタス・チーク、右サイドバックと中盤アンカーで起用可能なリース・ジェイムズも含め、年内には下部組織出身のイングランド人選手6名が、しかも23歳以下の若者たちが、先発メンバーに名を連ねる可能性も出てきた。
また、ロフタス・チークと同い年のアンドレアス・クリステンセンはデンマーク人だが、彼も下部組織出身である。補強禁止処分の産物とはいえ、ベテランと外国籍の選手ばかりだったチェルシーがここまで急速にシフトチェンジするとは、誰が予想できただろうか。
ランパード監督の大胆すぎる決断は、いまのところ功を奏している。12節終了時点で8勝2分2敗・勝点26は第3位。27得点はリーグ4位の好データだ。トップ10ではワースト2位タイとなる17失点には、ランパード監督も「たしかに緩いよね」と苦笑していたが、「すべて完璧に整えられるはずがない」と選手を庇いもする。