熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
リオの象徴キリスト像までユニ姿。
劇的な南米王者フラメンゴの狂宴。
posted2019/11/26 17:00
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph by
Getty Images
「これがフットボールだ」と感嘆するほかない、素晴らしい試合だった。
U-17ワールドカップ(W杯)決勝でブラジルがメキシコに劇的な逆転勝ちを収め、勝者も敗者も泣いているのを見て「“大人”の試合ではまず見られない光景」と書いたが、それは間違いだった。
百戦錬磨の勝者と敗者、そして陸路(主にバス)で複数の国境を超え、100時間前後かけて乗り込んできた者が少なくない双方のサポーターの多くが、号泣していた。
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23日午後、ペルーの首都リマでコパ・リベルタドーレス決勝が行なわれた。対戦するのは、ブラジル国内外に約3200万人(おそらく世界最多)のファンがいるとされる超人気クラブ・フラメンゴと、アルゼンチンでボカ・ジュニオルスと人気を二分する名門リーベル・プレート。それは、南米の二超大国の名誉を賭した戦いでもあった。
攻撃的フラメンゴvs.策士ガジャルド。
それぞれを率いるのは、今年6月に就任したばかりの65歳の老練なポルトガル人監督ジョルジ・ジェズスと、2014年の就任以来7つの国際タイトルを手にして「ナポレオン」と称される43歳の若き名将マルセロ・ガジャルドである。
両チームのフォーメーションは、いずれもアンカーを置く4-1-3-2。
フラメンゴの特長は、破壊的な攻撃力だ。22歳で近い将来のブラジル代表入りが確実視されるジェルソンが2列目中央で攻守に貢献し、ブラジル代表FWブルーノ・エンリケが超高速ドリブルでサイドを切り裂く。そして準決勝までに7得点のガブリエル・バルボサ(ガビゴル)に合わせる。
試合開始直後から圧倒的に攻めて先制し、手を緩めずに追加点を奪い、戦意を喪失した相手になおも襲いかかって粉砕する。ただし、中盤の底と両SBの守備力には不安があった。