第96回箱根駅伝(2020)BACK NUMBER

混戦必至の第96回箱根駅伝予選会。
突破に重要な「3つの要素」で各校を読む。 

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別府響(文藝春秋)

別府響(文藝春秋)Hibiki Beppu

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posted2019/10/24 16:00

混戦必至の第96回箱根駅伝予選会。突破に重要な「3つの要素」で各校を読む。<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

前回予選会をトップ通過した駒大は、本大会でも躍進を見せた。

突破濃厚の東国大、それに続く伝統校。

 そんな3要素から出場校を見ていくと、まず突破濃厚なのが、東京国際大学だ。日本人エースの伊藤達彦(4年)はユニバーシアードのハーフマラソンで銅メダルを獲得。留学生のイエゴン・ヴィンセント(1年)も10000m28分ヒトケタの出場選手の中でもトップレベルの記録を持ち、爆発力は抜群。加えて相沢悠斗、真船恭輔、山瀬大成といった実績のある4年生が脇を固めており、後続集団も大崩れはなさそうだ。さらに特筆すべきは、予選会の1週間後にある全日本大学駅伝に向けて、2、3年生の主力を何人かエントリーから外せるほどの選手層の厚さも見せている。今季は6月に行われた全日本大学駅伝の選考会でのトップ通過を始め、狙ったレースではほとんど失敗がないだけに、安定感も十分だ。

 東国大に続くのは明治大学、中央大学、早稲田大学の伝統校たち。それぞれエントリー選手上位10人の10000m平均タイムでは29分台前半の記録を持ち、各選手が普通に走れば通過は間違いない。だが、それぞれのチームに不安要素がないわけではない。

 明大は10000mで27分台の記録を持つ大エースの阿部弘輝(4年)が故障の影響で予選会を回避。山本佑樹監督は「阿部の予選会不出場は夏前からわかっていたことで、チームにショックはありません」と語るが、エースで主将という大黒柱が抜けて影響がないチームなど存在しないだろう。他にも中島大就、佐々木大輔といった10000m28分台を持つ4年生の主力がエントリーから外れており、スピードのある下級生がハーフマラソンの距離にどこまで対応できるかが課題だ。万一、レースの流れが悪くなったときには、立て直せる存在がいるのかがカギになる。

城西大、日体大も十分通過圏内。

 中大は最上級生の4年生のエントリーが主将の舟津彰馬ただひとりと、その双肩にかかる負担が大きい。一方で、下級生を含めた主力は故障者もなくほぼ全員エントリーされており、層の厚さと勢いは十分だ。もともとは中距離専門の舟津を下級生たちが走りでどうサポートできるかが重要だろう。

 早大も新迫志希、真柄光佑といった本来、軸になるべき4年生がエントリーから外れた。主将の太田智樹(4年)に加え、力のある下級生の中谷雄飛(2年)、千明龍之佑(2年)らがトラックシーズンの不調を振り切って、ロードでどこまで力を発揮できるか。また、13年ぶりの参加とあって、予選会独特の空気感にどう対応できるのかもポイントだ。

 城西大学、日本体育大学も通過が有力だ。

 城西大は2枚看板の荻久保寛也(4年)と菊地駿弥(3年)の存在が大きい。荻久保は昨年の全日本大学駅伝でエースの集まる2区で区間賞。好調そのままに今季も5月の関東インカレで5000m、10000mでダブル入賞を果たすなど、学生トップクラスの活躍を見せている。菊地も9月の日本インカレ10000mで入賞し、一気に実力を伸ばしてきた。また、主力級にエントリーから外れた選手がほとんどいないのも調整が上手くいっている証左で、エース格以外も大崩れはなさそう。主力選手の走り如何では、上位候補校を上回ることも大いにありうる。

 日体大は4年生に実力者が多く、全体的に選手層が厚い。タイムを稼げるエースがいるわけではないものの、長い距離にも強く、集団走できっちりまとめてくれば、十分通過圏内だろう。

【次ページ】 残り「4」はまさに大混戦の様相。

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