メジャーリーグPRESSBACK NUMBER
年間本塁打1083本増の異常事態。
バーランダーの警鐘はMLBに届くか。
posted2019/10/20 11:30
text by
四竈衛Mamoru Shikama
photograph by
Getty Images
2019年のメジャーリーグは、3月の開幕以来、空前の本塁打量産ペースが続き、最終的に史上最多となる6776本塁打が飛び交った。昨年の5693本から1083本増加し、これまで最多だった'17年の6105本を一気に671本更新した。
チームとしては、ツインズが307本、ヤンキースが306本と史上初めて300本塁打を上回った。個人では、40本塁打以上を記録した選手が昨年の3人から10人へ、30本塁打以上の選手が27人から58人へと、長距離砲が一気に増える現象が起こった。
その一方で、三振数が史上最多の4万2823個、盗塁数は30球団制になった1998年以降で最少の2280個と、数字上でも野球の質に変化が目立つようになった。
バーランダーが明かした私見。
過去数年、「フライボール革命」「バレルゾーン」などの言葉に象徴されるように、アッパースイングの打者が増加したことに加え、今季は「飛ぶボール」に変更されたことが、本塁打増の要因と言われてきた。
これに対し、MLB機構側はボールの変更を否定するコメントを残してきたものの、選手間では周知の事実として受け入れられてきた。
これまで、選手の先頭に立って、この問題について意見を残してきたジャスティン・バーランダー(アストロズ)は、ポストシーズンに入ってから、あらためて私見を明かした。
「もしボールが変わったのであれば、選手は知らされるべきだ。いずれにしても、フィールドに出れば、最終的に我々は同じボールを使うことになる。そこは対等なのだから、我々が望むのはそれだけだ」
今季のバーランダーは、自己最多となる36本塁打を浴びた。もっとも、21勝6敗、防御率2.58と、サイ・ヤング賞の有力候補に挙げられるほどの成績を残しており、言い訳がましく言っているわけではない。