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武豊も「ショックな結果」と語る
凱旋門賞の日本勢完敗、多くの教訓。
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph bySatoshi Hiramatsu
posted2019/10/11 20:00
絶対王者エネイブル(左)を下し、フォワ賞の勝ち馬としては1984年以来の凱旋門賞勝利となったヴァルトガイスト(右)。
3頭とも十分な実力馬だった。
また、3歳勢にはサートゥルナーリア(牡3歳、栗東・角居勝彦厩舎)がいる。ここまでの戦績は6戦して5勝。日本ダービーこそ4着に敗れたものの、それ以外は負け知らず。ホープフルSと皐月賞の2つのGIを制し、秋初戦となった神戸新聞杯(GII)では二強と目されたヴェロックス(牡3歳、栗東・中内田充正厩舎)に3馬身の差をつけて圧勝してみせた。
他にもオークス(GI)まで負け知らずで4連勝中のラヴズオンリーユー(牝3歳、栗東・矢作芳人厩舎)などもいるが、秋の天皇賞(GI)で直接対決となりそうなアーモンドアイとサートゥルナーリアの2頭を現状、日本の競馬界のトップ2と見る関係者は多い。
そういう意味で今回、凱旋門賞に挑んだ3頭は必ずしも日本の最高峰の馬達ではないかもしれない。
とはいえキセキは菊花賞(2017年)勝ちのほか、昨年のジャパンカップではアーモンドアイのレコードを誘発する逃げで2着に粘った快足を披露しており、日本のGI戦なら軽視は出来ない馬である。
他の2頭にも同様の事が言える。ブラストワンピースは昨年の有馬記念(GI)の勝ち馬。敗れはしたものの日本ダービーでは2番人気、菊花賞では1番人気に支持された実力馬である。
フィエールマンもまた菊花賞(2018年)と春の天皇賞(2019年)を制している。両頭はともにGIホースであり、先のキセキ同様、日本のGIレースに出てくればそれなりの支持を得る馬なのである。
「考えていたのとは違う位置取り」
その3頭が皆、苦戦を強いられた。最先着の7着だったキセキでさえ勝ち馬からは20馬身以上も離された。ブラストワンピースとフィエールマンに至っては早々にギブアップする形に追い込まれた。
ヨーロッパ最高峰のレースだけに容易に勝てるレースでない事は分かっているが、それにしても揃いも揃ってここまで大敗するとは、武豊騎手でなくてもショックを受けた日本人関係者は多かった事だろう。
キセキをかの地へ送り込んだ角居調教師はレース後、次のように語った。
「考えていたのとは違う位置取りになって自分の競馬が出来ませんでした」