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武豊も「ショックな結果」と語る
凱旋門賞の日本勢完敗、多くの教訓。
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph bySatoshi Hiramatsu
posted2019/10/11 20:00
絶対王者エネイブル(左)を下し、フォワ賞の勝ち馬としては1984年以来の凱旋門賞勝利となったヴァルトガイスト(右)。
先行力が武器のキセキが後方に。
けれん味のない先行力を武器とするキセキだが、この日はスタートが今ひとつ。中団より後ろからの競馬になってしまった。そもそも同馬は前哨戦のフォワ賞で4頭立ての3着に負けていた。
フォワ賞はパリロンシャン競馬場の芝2400メートル。本番の凱旋門賞と全く同じ舞台を経験させる意味は大きい。
しかし裏を返せばここでの敗戦は、同じ条件で相手は更に強化される本番での巻き返しをかなり困難なものにさせる。いわば諸刃の剣であり、実際にフォワ賞で敗れながらも凱旋門賞は勝った馬というのはここ何年も出ていないのだ。
英国滞在を失敗とするのは早計。
また、ブラストワンピースとフィエールマンの2頭は今回、イギリスのニューマーケットにある厩舎に入厩。そこからレースの前日にフランスへ輸送して参戦するという手段をとった。1999年にモーリス・ド・ギース賞(GI)に出走したシーキングザパール(栗東・森秀行厩舎)がこの臨戦過程で優勝していたが、凱旋門賞を目指す日本馬としては今回の2頭が初めての試みだった。
ブラストワンピースの大竹調教師は言う。
「とくにトラブルもなく仕上げに関してはうまくいったと思います。当日、少し気合いが乗り過ぎる感じなのは日本にいる時と同じ。状態自体は良かったと思います」
結果が結果だけに、このコメントも空しく響くが、今回の1回をみてイギリス滞在からの直前輸送では駄目だと判断するのは早計だろう。
調教場の視界が開けていたり、坂路のバリエーションが多くあったりと、ニューマーケットの方がシャンティイよりも優れている点は数多くある。今回の結果はデータの一つとして今後の遠征に反映させていく材料となれば失敗だとは言えまい。