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南野拓実2アシストのCLデビュー。
ザルツブルクが得た「最高の夜」。
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph byGetty Images
posted2019/09/22 11:40
ザルツブルク所属6シーズン目となる南野拓実。自身初のCLは大勝という形で幕を開けた。
オーストリアでは常勝を求められ。
そんなザルツブルクにおいては、必然的にメンバー構成が毎年のようにシャッフルされる。監督も代わり、主軸も変わる。それでいてオーストリア・ブンデスリーガで常に優勝し、欧州の舞台でも戦えるチームを作り続けるという要求がクラブからは課される。
それがクラブの方針といえばそれまでだ。過去にはそれが嫌で自分からクラブを離れた監督もいる。
例えば、現フランクフルトのアドルフ・ヒュッター監督がそうだった。チャンピオンズリーグを狙うならば、まっとうなチーム作りがされなければならない、と主張を繰り返していた。それもまた、至極当然の意見だろう。
CL本戦をぎりぎりで逃し続けた。
確かにザルツブルクはオーストリア・ブンデスリーガでは6連覇中で、絶対王者として君臨している。ヨーロッパリーグではベスト4まで進出したことがある。だが、チャンピオンズリーグにだけは手が届かないでいた。あと少し手を伸ばせば届きそうなところまできても、直前で何度も何度も苦杯をなめてきた。
2016-17シーズンにはプレーオフで終了間際までその切符を握っていたのに、試合終盤のゴールで延長戦へともつれ込み、そこで涙を飲んだ。毎年のように、今度こそはと立ち向かう。だが、昨年のプレーオフでも勝てば出場が決まるホームでのツルベナ・ズベズダ戦で2-0とリードを奪いながら、後半セットプレーから連続失点を喫して出場を逃してしまった。
「ヨーロッパリーグのレベルのチームには僕たちのサッカーが通用するというのは昨シーズン感じたし、今日も手応えがあった。だからこそチャンピオンズリーグというレベルが高いところで、どこまで通用するのかというのを知りたかった」
ツルベナ・ズベズダ戦後、南野はそう言葉を絞り出していた。
なぜ、たどり着けない? なぜ? 何が足らない?
いくつもの疑問符だけが残される。主力の放出を抑えてなんとかチャンピオンズリーグに出ようとしたシーズンも確かにある。だが、その場所へ辿り着くため、本当に最大限の準備をクラブはしてきたのか?