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南野拓実2アシストのCLデビュー。
ザルツブルクが得た「最高の夜」。
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph byGetty Images
posted2019/09/22 11:40
ザルツブルク所属6シーズン目となる南野拓実。自身初のCLは大勝という形で幕を開けた。
80mを持ちあがってアシスト。
やりたいこと、狙っていたことがどんどんはまっていく。こぼれ球もトラップミスもほとんどがザルツブルク選手のもとに転がってくる。彼らが動くところにボールが転がってくるかのように、動き出しのタイミングもコースもすべてがかみ合っていく。どんどんチャンスが生まれ、次々にゴールが生まれていく。
止まらない。止められない。前半アディショナルタイム2分には南野が駆け出した。自陣ペナルティエリア近くでクリアボールを受けると、すぐに反転してドリブル開始。相手が懸命にタックルで止めようとするが持ちこたえて、そのまま左サイドを持ちあがっていく。
その距離およそ80m。ゴールライン際まで持ち込みながら、ゴール前の様子を瞬時にスキャンし、左足で正確無比のクロスを送る。同じく自陣から走りこんできたハンガリー代表MFドミニク・ショボスライが右足ダイレクトでゴールを決めた。すべてのプレーが、一級品だった。
その後もCBラマーリョを中心にヘンクの攻撃を跳ね返し、キャプテンのウルマーは左サイドを掌握し、チーム6点目を見事にマークした。
若者たちが得た「最高の夜」。
「前半はもう本当に素晴らしかった。最高の夜になったよ。とても集中できていたし、すべてがうまくいった」
ウルマーは仲間と抱き合い、子どものように喜んだ。そんな彼らに支えられているからこそ、若手選手も躍動することができる。
FWハーランドはハットトリックの大活躍。「最初のゴールを決めたときはもう最高の気分だった。リーグ戦でハルトベルクに7-2で勝利したときには『オーストリア・ブンデスリーガだからできるんだ』みたいなことを少なからず言われたけど、そうではないことをこのチャンピオンズリーグで示すことができたね」と自分たちのプレーに胸を張った。
怖いもの知らずの若者は、飽くなき向上心でさらなる成長への階段を駆け上がろうとしている。