月刊スポーツ新聞時評BACK NUMBER
報道が過熱する「佐々木朗希」問題。
各スポーツ紙はどこに注目したのか。
text by
プチ鹿島Petit Kashima
photograph byKyodo News
posted2019/07/30 07:00
花巻東との決勝で敗戦後、報道陣に対応する佐々木朗希。岩手県大会では4回戦・盛岡第四戦での194球を含め、計435球を投じた。
指導者に飛んだつらいヤジ。
『つらいヤジ…大船渡・佐々木朗希の投げない決勝戦に思う 「過密日程」の緩和が優先』(7月26日)
これはスポーツ報知のwebサイト限定コラム。当日取材した加藤弘士・野球デスクは「過密日程の緩和」を提案している。
《なぜ準決勝と決勝が連戦で行われなければならないのだろう。開幕を早めることで十分に間隔を空け、疲労を取り、両チームともに心身のコンディションを整えた上で、最高の決勝戦を行うことは、そう難しくはないはずだ。》
コラムの最後は、
《時代は急速に変わりつつある。大会運営もプレーヤーズ・ファーストの視座を大切に、前例にとらわれることなく、変えるべき点は勇気をもって変えていきたい。心ある指導者がもう二度と、つらいヤジに晒されないためにも。》
菊池雄星やダルビッシュ有も同意見。
実はメジャーリーグで活躍している菊池雄星やダルビッシュ有も同意見なのだ。翌日のスポニチを見てみよう。
『雄星「過密日程考えていく時期」 「予選5月からやればいい」ダル』(7月27日)
球数制限やタイブレーク制度の改革案もあるがまずは「過密日程の緩和」か。
最後に。
この連載では4月に佐々木朗希こそ現代の「未知」だと書いた。163キロ情報は認識しているが、投げる姿を実際に見た人は多くない。だからこそ"目撃談"に胸をときめかす。かつてのネッシーや雪男に似たロマンである、と。
「未知」である理由にはあえて強豪校に進学しなかったという意味が効いている。大事に育てられているという神秘性が発生したからだ。
しかし夏が近づくにつれ、多くのマスコミが「里」にまでやってきた。何十年に一度の逸材だとか、壊れないままプロに行けるのかとか、果ては大切に育てられすぎて本当に体力はあるのか的な論調も見かけた。