月刊スポーツ新聞時評BACK NUMBER
報道が過熱する「佐々木朗希」問題。
各スポーツ紙はどこに注目したのか。
text by
プチ鹿島Petit Kashima
photograph byKyodo News
posted2019/07/30 07:00
花巻東との決勝で敗戦後、報道陣に対応する佐々木朗希。岩手県大会では4回戦・盛岡第四戦での194球を含め、計435球を投じた。
ヒジの違和感はあったのか?
ただ、「仮にこれが準決勝・一関工戦だったらもう少し話は違った」(報知・アマ野球担当キャップ)という指摘はどう考えればよいのだろう。
そこで大きな意味を持つのがこの記事だ。決勝翌日の日刊スポーツの一面である。
『佐々木ヒジ違和感 医療班に訴えた』(7月26日)
《24日の準決勝直前、県高野連の医療スタッフに、佐々木は右肘の内側に違和感を訴えていた。》
なんと!
この内容が事実なら国保監督が決勝戦の起用に慎重になるのも無理はない。
“火消し”があったのだろうか。
しかし。翌日のスポーツニッポンは、
『一部報道否定「肘の違和感聞いていない」 医療スタッフ』(7月27日)
え……?
《登板回避にあたって佐々木が県高野連の医療スタッフに肘の違和感を訴えていたという一部報道について、大会中に選手の医療ケアに従事した岩手県理学療法士会は内容を否定した。(略)実際に佐々木を担当した関係者は「肘について何かを訴えていたということはない。他の部位についても痛みや違和感は聞いていない」と話した。》
これは一体……。どう「読めば」よいのだろう。
佐々木の肘の違和感はあったのかなかったのか。“火消し”の動きはあったのかなかったのか。過熱する報道合戦。
さて話を戻すと、肘の違和感があってもなくても「高校生投手に過酷な連投を課すこと」について考えることが本筋であろう。
これについてはどんな「論」が出ているのか。