酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
中村剛也は特異な大スラッガー。
他の400本塁打達成者よりも凄い!?
posted2019/07/29 08:00
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Kyodo News
7月19日、西武の中村剛也はオリックスの増井浩俊から11回裏にサヨナラ本塁打を打ち、通算400本塁打を達成した。
NPBにおける“400本塁打倶楽部”は20人目の会員を迎えたことになる。868本塁打の王貞治、657本塁打の野村克也をはじめ、そうそうたる顔ぶれが会員になっているが、中村はその中でも特異な存在だ。
まずは「本塁打比率の高さ」である。
<400本塁打達成者の安打数に占める本塁打数10傑>※中村の400本塁打達成時点。
1.王貞治 31.2% (868本/2786安打)
2.田淵幸一 30.9% (474本/1532安打)
3.中村剛也 28.5% (400本/1405安打)
4.T.ローズ 25.9% (464本/1792安打)
5.清原和博 24.7% (525本/2122安打)
6.山本浩二 22.9% (536本/2339安打)
7.野村克也 22.6% (657本/2901安打)
8.門田博光 22.1% (567本/2566安打)
9.山崎武司 22.0% (403本/1834安打)
10.大杉勝男 21.8% (486本/2228安打)
中村は王貞治、田淵幸一に続いて3位。これだけでも大したものだが、実は王、田淵が活躍した昭和のプロ野球と平成では、球場のサイズが違うのだ。
球場が大型化する中での記録。
NPBの球場は、1988年の東京ドームの開場をきっかけとして大型化した。
王が本拠地とした後楽園球場は公称両翼90m、中堅120mで、田淵が打っていたころの甲子園球場は公称両翼91m、中堅121mだった。
これに対して、中村剛也のホームグラウンドであるメットライフドームは両翼100m、中堅122m。今の球場の左右両翼のポールは、昭和の頃に比べて10m近くも後ろにあるのだ。
今のプロ野球ではランニングホームランを除いて、100m以下の本塁打はほとんど出ない。
しかし王貞治は、以前紹介したことがあるが、868本塁打のうち102本が99m以下の本塁打なのだ。田淵も同じくらいのサイズのスタジアムで現役生活を過ごしていた点を考慮すれば、中村剛也は王、田淵に引けを取らないスラッガーだといえるだろう。