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中村剛也は特異な大スラッガー。
他の400本塁打達成者よりも凄い!? 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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photograph byKyodo News

posted2019/07/29 08:00

中村剛也は特異な大スラッガー。他の400本塁打達成者よりも凄い!?<Number Web> photograph by Kyodo News

サヨナラアーチで通算400本塁打を決めた中村剛也。日本プロ野球史に残るアーチストなのは間違いない。

将来、殿堂入りするかどうか注目。

 8月15日で中村剛也は36歳になる。まだ老け込む年齢ではないが、そろそろ現役生活も終盤だ。私が今、気にしているのは、彼が殿堂入りするか、ということだ。

 NPBの殿堂入りは「プロ野球名球会」とは異なり、数字の基準はない。記者の投票で選ばれる。しかし、数字が一定の根拠になるのは事実だ。打者の場合、2000本安打がその最大の根拠になっている。

 2リーグ分立の1950年以降にデビューした打者で、2000本安打を未達成で野球殿堂入りした打者は以下の通りだ。

 1991年:牧野茂、1992年:広岡達朗、吉田義男、1994年:与那嶺要、1999年:中西太、古葉竹識、2001年:根本陸夫、2003年:上田利治、関根潤三、2004年:仰木彬、2005年:森祇晶、2006年:豊田泰光、2017年:伊東勤、2018年:原辰徳。

 計14人いるが、豊田泰光を除く13人が指導者(監督、コーチ)としての実績を加えての「合わせ技」なのだ。

田淵、ローズ、山崎武司は……。

 本塁打王6回、打点王3回の中村剛也は、中西太(本塁打王5回、打点王3回、首位打者2回)に匹敵する実績の持ち主だが、もし2000安打未満で引退すれば、指導者として実績を残さない限り、殿堂入りは難しいのではないかと思われる。

 何しろ、400本塁打倶楽部の顔ぶれのうち、2000安打に未到達の田淵幸一、T・ローズ、山崎武司も2019年時点で殿堂入りしていない事実があるのだ。

 とはいえ中村は球場が大型化した平成時代において、最高のホームランバッターであることは間違いないだろう。

 今もなお鮮やかなアーチを描いている中村を見れば、引退云々を口にするのは早い話だし、ここからさらに奮起して2000本安打を目指してほしい。ただ関係各位には今後、この稀代の強打者を正しく評価してほしいと願うばかりだ。

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