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改修直前、思い出の“西武球場”へ。
野球は儚く変わっていくものだから。 

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中溝康隆

中溝康隆Yasutaka Nakamizo

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photograph byYasutaka Nakamizo

posted2019/06/21 08:00

改修直前、思い出の“西武球場”へ。野球は儚く変わっていくものだから。<Number Web> photograph by Yasutaka Nakamizo

メットライフドームの玄関口「西武球場前」。池袋から30分強の絶妙な距離感である。

シンデレラのほとんどは汗まみれの男たち。

 西武にはAKD砲がいてさ、あれは確か'91年のシリーズだったかな……。

 6月12日水曜日の午後、池袋からぶらり西武鉄道の飯能行きの急行に乗って、球場を目指す。西武線に乗るのも久しぶりだ。座席にはライオンズのロゴマークが入っている。

 昨年、野球小説を書いた際、元スポーツ新聞記者に取材をしたが、「メットライフドームで仕事を終えた帰りの電車が、都内の自宅まで1時間半近くかかるんですよ。疲れていると、この長い長い帰り道に余計なこと考えちゃう。オレの人生これでいいのか……とかね」という話が印象深い。

 ちなみに、東京ドームや神宮でまれに終了が23時近い延長戦になった日は、午前零時以降にチェックインすると3000円安くなる某ビジネスホテルの“シンデレラプラン”にひとりで泊まる。明日も球場に来るし、もう帰るのも面倒だって一部記者の間では人気のプランだ。花の都大東京のど真ん中、シンデレラのほとんどが汗まみれの男たちである。

 西所沢で乗り換え、西武球場前駅についたのは午後4時過ぎ。「ようこそ、メットライフドームへ」と書かれた改札を抜けると、目の前にすぐ巨大な屋根が見えてくる。

 ドーム化計画初年度の'98年のみ、観客席は屋根で覆われたがグラウンド部分は空いている状況で1シーズンを過ごし、'99年から現在の形のドーム球場へ。この年がゴールデンルーキー松坂大輔のプロキャリアのスタートというのも平成史の一部だ。

弁当に内海哲也の心情を深読み?

 よし、とにかく腹ごしらえだ。目当ての選手弁当を堪能するため昼飯を抜いてきた。「山川のちゅんじゅくステーキ弁当」は月間MVP受賞記念特製ポストカード付きだし、「光成のWチョコバナナ」も捨てがたい。精肉卸直営キッチンカーから漂う「メヒアのパワープレート」の肉々しい香りもたまらない。L's Cafeのアツアツのフードが美味いのも分かってる。

 でも、俺は心に決めていた。「内海哲也プロデュース ダブルチキン弁当」(1400円)を食おうと。

 FAの炭谷銀仁朗の人的補償選手として巨人から移籍した37歳のベテラン左腕だが、故障にも泣かされまだ一軍登板はない。でも、久々の再会で選手弁当は食べたかった。

 球団公式サイトによると「ブラックペッパーのスパイスが効いたペッパーチキンステーキと甘酢だれのチキン南蛮という2種類の鶏肉料理はご飯との相性抜群です! また、出身地の京都にちなんだちりめん山椒やしば漬けをメニューに取り入れることで、内海投手らしさがつまったお弁当に仕上がりました」とのことだ。

 がっつり系の選手弁当が多い中、ちりめん山椒にしば漬けはさすがベテランの絶妙な渋いチョイスだ。しかし、肝心のメインの鶏肉が……。味も濃すぎる気が……。うん、あれか今の背番号27の状態は辛口だけど焦らずビールと一緒に食べたらちょうどよくなるのかもな(意味不明)。一軍のマウンドで会える日を楽しみにしてるよ、内海。

【次ページ】 “野球変態”伊賀大介氏がぶら野球参戦。

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