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ACL日本勢対決は鹿島が先勝。
8番土居聖真に見えた“強引さ”。
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byEtsuo Hara/Getty Images
posted2019/06/19 12:00
ACL決勝トーナメント1回戦、広島とのファーストレグでセルジーニョのゴールをアシストした土居聖真。
チームの粘り強さを生む、ACL制覇の経験。
そういう彼の強気を支えているのは、チームとしての粘り強さがあるからだろう。ACL広島戦後、土居も語っている。
「去年のACLで難しい試合をたくさん経験したというのは、チームにとって財産だし、今はその経験がすごく生きている。どんな状況でも勝てるという自信がついていると思う。セレッソ戦でもそうだったけど、どんなに押されていたとしても、押されているから負けているわけじゃない。そういう考えをどれだけみんなが共有できるかが大事だし、去年のACLを経験して、精神的にも肉体的にもタフになったチームだと思います。
今日も苦しい時間がありましたけど、チーム全体で乗り切ってくれた。悪い時間帯でも我慢強く守ってくれるからこそ、自分も前で仕事がしやすい。思い切って、ゴールに直結するプレーができるので、みんなに感謝したい」
鹿島らしい試合運びの巧さの所以は、試合状況を把握し、チーム内に生まれる意思統一の固さだ。相手のペースで試合を運び、パスを繋がれ、ボールを握られている時こそ、逆に好機があると話す土居のイメージもまた、チームの共通認識なのかもしれない。
セカンドレグに油断はない。
「『俺らいいペースだな』と思ったときこそ、油断しやすいと思う。気の緩みというか、大丈夫だろうという気持ちに偏ると思うので、そういうときにそんな相手の意表を突くというか、『そうくるか』と思わせるプレーを続けていきたい」
最後のところでゴールを守る。ボールを持つ相手のミスを誘い、ボールを奪う。そこから素早く攻守を切り替え生まれるショートカウンター。そのとき、土居が輝く。
そしてそれは、1週間後のセカンドレグでも生きるはずだ。
「広島はリスクを負ってくると思うし、そこを裏返す展開を作れたら、すごいチャンスになるはず。相手に嫌だなと思われるポジショニングやカウンターの回数、質を高められたらいい。ACLではあと1試合だけど、対広島と考えれば、そのあとにJリーグもあるから」