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ACL日本勢対決は鹿島が先勝。
8番土居聖真に見えた“強引さ”。
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byEtsuo Hara/Getty Images
posted2019/06/19 12:00
ACL決勝トーナメント1回戦、広島とのファーストレグでセルジーニョのゴールをアシストした土居聖真。
「2トップ」で躍動し始めた土居。
小笠原満男、野沢拓也と鹿島の攻撃の名手たちが担った背番号8を担う土居。攻撃的MFを主戦場に戦っているが、年齢を重ねる毎に「縁の下の力持ち」という印象が強くなっているのも事実だ。停滞したチームを動かす潤滑油のような存在だった。彼がピッチに立てば、チームの推進力は増す。
ここまでタイトルに繋がるゴールを上げてきたし、2016年のCWCでは1ゴール3アシストと活躍している。
だが、継続して決定的な仕事が出来ているわけではなかった。1シーズンでの安定感という眼で見ると物足りなさも正直あった。
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しかし、4月20日の仙台戦以降、2トップの一角としてプレーし始めると、得点の過程に絡む仕事が増えてきた。自身の運動量やポジショニングで、チームの推進力を高めるだけでなく、決定機を演出する強引さを漂わせるようになってきたのだ。
毎試合、点に絡むことが仕事。
「もちろん、チームに推進力を与えるプレーだけに満足したくなかったし、もっといろんなことができる自信もあった。それがなぜ今できているのかはわからないけれど(笑)。点に絡む、点の起点になるというのが僕の最大の仕事だしそれを毎試合続けるのが僕の役目。
相手陣地にボールを運びこむのが、キーポイントになってくる。相手陣地で失わずに、いい形でボールを運び、クロスなりシュートなりでやり切るところと、1度ボールを回すというところの判断が、ここ最近はいいのか、それが結果に繋がっている。やっていて楽しい」
土居自身が「わからない」という進化の原因はきっと、思い切りの良さだろう。それは次の発言からも感じられる。
「たとえば、うまくいかなくても、やめる気はないし、それを続けなければ、僕が出ている意味がなくなるので、僕は僕らしく。全部のプレーがうまくいくわけじゃない。メッシですら、うまくいかないことがあるはず。そう考えれば、僕がひとつふたつうまくいかなくても、くよくよしている場合じゃない。失敗しようが成功しようが、自分が納得できるプレーを続けるだけだから」