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ACL日本勢対決は鹿島が先勝。
8番土居聖真に見えた“強引さ”。
posted2019/06/19 12:00
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph by
Etsuo Hara/Getty Images
6月14日のJ1リーグ第15節C大阪戦、2-0で勝ち点3を上げたものの、前半の出来の悪さが目立っていた鹿島。
18日ホームに広島を迎えたACL決勝トーナメント1回戦ファーストレグでも、立ち上がりからチャンスを作ったが、得点を奪えずにいた。
ピッチ中央にブロックを敷き、バランスの良い状態を生み出していたが、10分を過ぎたあたりからは、広島がボールを持ち始める。ショートパスを繋ぐ相手に対して、鹿島は落ち着いた守備を見せるが、それでもボールを保持するのは広島。鹿島は押し込まれている様子すら感じられた。
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しかし、24分。クォン・スンテのロングキックをセルジーニョが競り、そのセカンドボールを拾った土居聖真がドリブルで広島陣内へと侵入する。
「ボールを拾ったときから、シュートかクロスをイメージしていた」という土居が、ペナルティエリア深い位置からクロスを上げると、これをセルジーニョが頭で押し込み、先制点が生まれた。そして、その1点を守り切る形で、鹿島はファーストレグを勝利した。
相手にボールを持たれても、慌てず、球際での強さを見せながら、1-0で逃げ切るという鹿島らしい戦いだった。
C大阪戦後に語っていたCWCの経験。
「攻め込まれている試合というのは、自分にチャンスが来たときにやってやろうというように集中力が逆に研ぎ澄まされている。それは去年のクラブワールドカップ(CWC)での経験が大きい。そこで、そういう思考になった。
10本中、10本行けなくても、1本がゴールに繋げられれば、勝ちに繋がる。勝ちに近づくというのを勉強させてもらった。そういう『ここぞ』というチャンスを見逃さないことは、今年はすごく意識しているところ。そして、それを続けられている。その意識を忘れない限りはいいプレーができると思います」
土居がそう語ったのは、C大阪戦後だった。この試合では、アシストした2点目は当然のこと、最初のPKを得たシーンも土居のプレーが起点だった。