話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
堂安律が苦しむ大迫不在時の連動性。
「翔哉君が持った時のタイミングが」
posted2019/03/29 11:15
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
Takuya Sugiyama
物足りない――。
コロンビア戦を含めた2試合、個人としてもチームとしても満足できない。ボリビア戦後、珍しく「短い時間で」と語り、不満そうな堂安律の表情がそれを物語っていた。
コロンビア戦では堂安、南野拓実、中島翔哉の3人が揃ってプレーしたが、1-0で敗れた。3人が一緒にプレーしたのは昨年11月20日のキルギス戦以来で、スタメンでは同11月16日のべネズエラ戦以来だった。
この3人、大迫勇也がいる時は個人の突破や仕掛けから輝きを見せている。だが、大迫が不在になると途端に連動した攻撃が減ってしまう。サイドバックを含めた3人、4人が絡む崩しがないのだ。
複数の選手が連動したゴールと言えば、ザッケローニ監督時代、オランダ戦('13年11月)で見せた本田圭佑のゴールだろう。
遠藤保仁のサイドチェンジから内田篤人、岡崎慎司、本田、大迫勇也を経由しての美しいゴールだったが、このレベルに至るにはもう少し時間が必要だ。
実際、3人は昨年から一緒にプレーしているが、堂安は中島の動きを完全には掴み切れておらず、周囲と連動したプレーについて課題が多いと感じている。
中島のタイミングに合わせるために。
コロンビア戦後、堂安はこう打ち明けた。
「縦パスを入れるシーンをもっとみんなが共有しないといけないし、翔哉君がボールが持った時、今このタイミングで突破するんやって言うのが多くて……。翔哉君が持った時、僕らが連動できていないし、チーム全体でどこで前を向くかが共有できればもっと勢いをもって、僕も前に飛び込めると思う。なんかもうひとつかなと。ただ、アジアカップよりよくはなっています」
思いどおりにいかないジレンマがストレートにこぼれてくる。個人的には「アジアカップよりは」という言葉が気にかかった。
堂安にとってアジアカップは不完全燃焼で終わった大会だ。
期待されたゴールは2点。型にハマった時は誰も止められない攻撃を見せるが、一方で研究され、相手が守備を構えている状況では打開できなかった。