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堂安律が苦しむ大迫不在時の連動性。
「翔哉君が持った時のタイミングが」 

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佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2019/03/29 11:15

堂安律が苦しむ大迫不在時の連動性。「翔哉君が持った時のタイミングが」<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

衝撃的なデビュー以降、代表での堂安律は苦しんでいる。それは彼がチームとの調和を大切にするプレーヤーだからだ。

大迫バージョンの攻撃はあるが。

 そして、大迫不在時の問題は深刻だ。

「サコ君がいる時はみんなが動きを共有して、みんなが前にいける」

 大迫バージョンともいえる攻撃が確立されていると堂安は話すが、逆に言えば今のところはそれしか攻撃手段がないということだ。

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 ボリビア戦後に堂安は「まだ課題が多い」と語ったが、それはコロンビア戦で露呈した自身のシュートの精度に加えて、大迫を介してしか攻撃に迫力が出ず、連係も深まらない現状を示している。

だからこそ堂安は、香川に期待していた。

 堂安は行き詰まりを感じ、攻撃面における二の手、三の手を考えるキッカケが欲しかったのかもしれない。だからこそ、初めて一緒にプレーする香川真司が起こす化学変化を期待していた。自分の知らない何かを引き出してくれるのは、自分と異なる才能や技術の持ち主にしかできないことだ。

 堂安にとって、香川はまさにそういう選手だった。

「真司くんはボールをもってテンポを作れる選手なので、近くによってくれる。拓実くんはどちらかというと得点を取りにいくフィニッシャータイプなんで」

 コロンビア戦で香川と堂安は6分間だけともにプレーした。その後に、堂安はこう語った。

「前半は思い通りにやれたけど、後半は自分たちがボールを持って相手が構えた時にアジアカップに似たような現象が起きて、あまり前で変化が起きないことがあった。真司くんが入った時、何かを変えられそうな雰囲気があったんで、だからこそもう少し一緒にやりたかった」

 香川との連係で変化を付けられる手応えはあったが、あまりにも時間が足りなかった。ボリビア戦での共闘も期待したが、香川との共演は7分間に終わり、短い時間で何かを起こすことは難しかった。

 そして、またしてもゴールは生まれなかった。

「ゴールを決めるのが仕事」という堂安にとっては、悔しさだけが残る2試合になった。

 それがボリビア戦後の表情を生んでいた。

【次ページ】 連動しなければゴールは奪えない。

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