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憲剛、大島、守田、そして田中碧。
フロンターレ中盤の系譜にまた新星。

posted2019/03/24 11:30

 
憲剛、大島、守田、そして田中碧。フロンターレ中盤の系譜にまた新星。<Number Web> photograph by J.LEAGUE

大島僚太、守田英正、中村憲剛……実力者が数多い川崎のボランチの中で起用される田中碧は、今こそ見たい注目株だ。

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いしかわごう

いしかわごうGo Ishikawa

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J.LEAGUE

東京五輪まであと500日を切る中で、JリーグではU-22世代の
若手有望株が続々と台頭している。
短期集中連載として、2019シーズンに見ておきたい、
五輪世代の各選手をピックアップした。
今回はJ1王者・川崎フロンターレの田中碧だ。

 チャンスとは、突然やってくるものだ。

 川崎フロンターレの田中碧に巡ってきた今季初先発は、まさにそんな感じだった。

 3月10日、Jリーグ戦第3節の横浜F・マリノス戦。

 今季リーグ戦とAFCチャンピオンズリーグの3試合で、田中は出場機会がなかった。直近に行われたACLの上海上港戦では、遠征には帯同されていながらもベンチ外。いわゆる「19人目の選手」として、スタンドから試合を見守った。

 そして中国から帰国直後に迎えた神奈川ダービー。キックオフ2時間前に発表される先発リストに名前を連ねていたのは、大島僚太である。

 ところが、ウォーミングアップ中に大島が左太ももに違和感を訴えたことで、鬼木達監督は試合前に悩ましい決断を迫られる事態となっていた。

憲剛ではなく田中が先発起用。

 ベンチには大黒柱である38歳の中村憲剛も控えていたが、指揮官が指名したのは弱冠20歳の田中碧。プロ3年目で、Jリーグ通算出場は4試合。下部組織育ちの生え抜きボランチである。

 田中が先発を告げられたのは、アップを終えてロッカールームに戻り、さらにチームの円陣を終えた後だったという。まさに試合直前であり、難しい心理状態で臨まなくてはいけないことは容易に想像がつく。だが、ときに若者は怖いもの知らずだ。あまりに準備の時間がないがゆえに、開き直りにも近い感覚になった。

「急だったからこそ、過度に背負うものはなかったし、楽にやれたところはありました。自分のやることをしっかりやるだけでした。自信を持ってやるだけだと思っていましたし、迷いなくスムーズに入れました」

 そして指揮官から「自分の特徴を出して、楽しんでこい!」と送り出された若武者は、開始早々、いきなり自分の持ち味を発揮したのである。

【次ページ】 スルーパスでいきなりアシスト。

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