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憲剛、大島、守田、そして田中碧。
フロンターレ中盤の系譜にまた新星。
text by
いしかわごうGo Ishikawa
photograph byJ.LEAGUE
posted2019/03/24 11:30
大島僚太、守田英正、中村憲剛……実力者が数多い川崎のボランチの中で起用される田中碧は、今こそ見たい注目株だ。
「こんな試合は初めて。楽しかった」
連戦を終えたガンバ大阪戦の翌日。
激動とも言える一週間を振り返る田中碧の表情は、穏やかだった。
「そうですね……こんな3試合は初めてでした(笑)。一番思うのは、楽しかったなということ」
試合自体はどれも楽しかったと話す。ただ連戦を戦い抜いたことに満足感はない。むしろ、チームを勝たせられなかった結果に悔しさが残ったという。
「リョウタくん(大島僚太)がいない中で、1勝1敗1分。リョウタくんがいたら勝っていたと思われるのは、自分としては悔しいです。でも、自分としてはやるべきことをやるだけでした。やれた部分、やれなかった部分もある。まだまだ足りないことに向かって、どうやってやっていくのかですね」
昨季まで守田がつけていた25番。
実は今シーズンを迎えるにあたって、田中碧は背番号を変更している。
32→25。
今年から背負う「25」は、去年まで守田英正がつけていた背番号である。
そのことを尋ねてみると、少し微笑みを浮かべて「これはあんまり言いたくないですけど……」と前置きした上で、こんな思いを語ってくれた。
「僕自身、選手として守田くんを超えたいというのがあります。守田くんは超えたい存在なんです」
昨年に流通経済大学から加入した守田は、新人ながら恐るべきスピードで成長を遂げた選手だ。開幕時から出場機会を掴み、夏以降はボランチの一角として定着。9月には森保ジャパンとして始動した日本代表としてAマッチデビューも飾った。コンディションで辞退したものの、今回の親善試合でも代表に選出されている。しかし、だからと言って白旗はあげない。むしろライバル心を口にする。
「一緒にやっていて尊敬する部分はありますし、日本代表にも選ばれていてすごいな、という思いはあります。守田くんの良さを吸収して得るものもあります。でも、だからこそ負けたくないというのもあります」