ぼくらのプロレス(再)入門BACK NUMBER
獣神サンダー・ライガーが引退決断。
ジュニア発展に身を捧げた男の矜持。
text by
堀江ガンツGantz Horie
photograph byAFLO
posted2019/03/13 08:00
ジュニアヘビー級の底上げに多大な貢献をしたライガー。彼の功績はこれからも若き戦士たちの指針となるだろう。
マスクの下から伝わる喜怒哀楽。
現在、ジュニアヘビー級(クルーザー級)は、プロレス界の人気ジャンルとしてすっかり定着。新日本プロレスはもちろんのこと、世界最大のプロレス団体WWEでは「205 LIVE」という、軽量級だけの番組も人気を博している。そこで活躍するレスラーの大半が、なんらかの形でライガーの影響を受けていることだろう。
ライガーボム、シューティングスタープレス、雪崩式フランケンシュタイナーといった、現代ジュニアのスタンダードともいえる技は、みんなライガーがオリジナルだ。
しかし、ライガーの本当の素晴らしさは、そういったジュニアらしい技やムーブだけで語ることはできない。ライガーが何より偉大なのは、あの顔全体が覆われ、目も隠れたマスクでありながら喜怒哀楽が観客に伝わるところだ。
あの表現力こそが、50歳を過ぎてからもライガーがライガーであり続け、ファンの心を惹きつけてきた最も大きな要因でもある。
技の難易度、危険度が年々エスカレートしていくジュニアの闘い。ライガーのプロレスは若きジュニア戦士たちにとって、いまも大事な指針となるのではないか。そんな気がしてならない。