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森保Jの「プレーを止めるな!」。
冨安や南野が体現した監督の理想。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byTakuya Sugiyama
posted2019/01/31 12:15
今大会最大の出世株である冨安健洋。森保監督の考え方を体現する選手の1人である。
外に出そうでも足を止めないこと。
冨安が重宝されているのには、もちろん理由がある。それは、先日放送されたNHK「サンデースポーツ」のインタビューでの、森保監督の発言からも明らかだ。
森保監督が挙げたのは、昨年11月のベネズエラ戦でのシーンである。GKシュミット・ダニエルの脇を抜けた相手のシュートを、必死に戻った冨安がゴールライン手前でスライディングクリアしたプレーについて、こう語っている。
「本当にスーパーなプレーですけど、予測していなかったり動きを止めていたら、あのプレーは生まれていないです。あそこを頑張って、最後の一粘りで足を出して、かき出す。チームの中ですごく大切にしていきたいプレーを彼は表現してくれました」
森保サッカーを体現した冨安は、こう証言した。
「練習でボールがタッチライン割っていそうな場面でも、『続けてプレーしろ』と言われます。もちろんミスは起こるものですが『もしミスが起こっても、しっかりとゴールまで戻ること。ゴールが決まるまではわからないぞ』とは常々言われています」
イラン戦の勝利を決定づける3点目を決めた原口も、こう話している。
「監督からは『プレーを止めるな、やるべきことを続けろ』と言われている。審判の判定に対しても『ワーワーと文句を言うのではなく頭を切り替えて、次のプレーに備えて陣形を作れ』とも言われますから」
個人の良さをまず優先するチーム作り。
そして、森保監督のチーム作りで優先する要素もそこに影響してくる。
森保は「グループの良さ」と「個人の良さ」の両方があると選手たちに説明している。そして戦術的な「グループの良さ」を重視する程度が過ぎると、「個人の良さ」が出にくくなることがあるとも言う。最終的には両方が噛みあうのが理想だが、チーム作りの初期に「個人の良さ」を出しやすくする環境を整えていくのも1つの方法論だろう。
森保監督は攻撃の型や一定の戦術を植え付けるのではなく、チームに規律やカルチャーを植えつけることを優先しているように見える。