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森保Jの「プレーを止めるな!」。
冨安や南野が体現した監督の理想。 

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2019/01/31 12:15

森保Jの「プレーを止めるな!」。冨安や南野が体現した監督の理想。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

今大会最大の出世株である冨安健洋。森保監督の考え方を体現する選手の1人である。

「彼らは国内リーグでもいつもそう」

 興味深いのは、イランの立場から見た視点だ。

 ヴィンフリート・シェーファーというドイツ人の指導者がいる。ドイツの古豪カールスルーエや、シュツットガルトの監督を務め、日韓W杯の際には大分県の中津江村の人たちとの交流が話題になったカメルーン代表を率いて日本にやってきた。彼は今、イランの強豪エステグラルFCで指揮を執っていて、今大会のイラン代表にも3選手を送り込んでいる。

 イランサッカーに精通しているシェーファーは、先制ゴールについては、こんな指摘をしていた。

「イランの選手たちは判定について審判に文句を言いにいっていたが、そんなことをすべきではなかった。彼らは国内リーグでも、いつもそうしている。そしてこの試合の大事な局面でも、彼らの『習慣』が繰り返されてしまったのだ」

 ディテールが勝敗をわける――。格言通りの展開だった。

冨安こそチームルールの体現者。

 残念ながらアジアでの公式戦は、プレーのみならず運営から審判のレベルまで、世界のトップレベルとはまだ差がある。過去の大会でも、驚くような判定が下されたことは少なくない。

 では、どうしてそんな環境でも、日本はディティールをつきつめられたのだろうか。

 イラン戦でチーム最多となる9回のインターセプトと11回のクリアを記録した冨安健洋は、先制ゴールについてこう語っている。

「拓実くんがプレーを続けたからこそ、得点が生まれた。あれは、監督が伝えたかったことが形になったシーンだと僕は思います」

 この発言には大きな意味がある。なぜなら、冨安こそ森保監督の求めるチームルールの体現者だからだ。

 20歳の若きディフェンダーは今大会で、原口元気とともに全試合に起用されている。しかも、原口が左MFという本来のポジションで起用されているのに対して、冨安は初戦で「オマエなら出来ると思うから試合で使うんだ」という森保監督のメッセージとともにボランチで先発で起用され、3戦目では終盤に守備を固めるために右MFとして送り出された。

【次ページ】 外に出そうでも足を止めないこと。

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