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森保Jはセットプレーを強みにする。
選手も実感する戦略の緻密さとは。 

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2019/01/24 13:45

森保Jはセットプレーを強みにする。選手も実感する戦略の緻密さとは。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

セットプレーで先制点が獲れれば、展開は一気に変わる。日本が世界で戦うための大切な手段である。

W杯でもセットプレーから。

 では、今回のCKによる得点は何を意味しているのだろうか。

 忘れてはならないのが、近年はCKやFKからのゴールの重要性が、練習時間の少ない代表チームのなかで重要性を増しているという事実だ。

 ロシアW杯では、全ゴールのうちの43%がセットプレーから生まれた。さらに、負ければ終わりの決勝トーナメントでは、約32%にあたる15点がヘディングによって記録された。その4年前のブラジルW杯では、ノックアウトステージでのヘディングゴールの割合は約6%(2ゴール)だったから、実に5倍以上に増えている。

 そして、日本のロシアW杯での戦いが終わったのも、自分たちのCKからのカウンターだった。CKを細かく調整して先制点を決め、リスク管理も徹底する。それは、すなわちロシアで味わった苦い経験を繰り返さないための作業でもある。

セットプレーを強みに。

 酒井はこう話している。

「森保さんから言われるだけでなく、チームメイトともよく話し合っています。セットプレーや攻守の細かいところが勝負をわける。そういう厳しい勝負の世界にみんなが普段から身を置いていますし、涙を飲んだこともあった。僕らのセットプレーは、これまでは弱かったと自覚している。そこを強みに変えるために、連係や細かなところにみんなで気を使うしかないと思う」

 今の日本代表はディテールにこだわりすぎている、と短絡的に批判する人はいるかもしれない。しかし、これを単純なCK対策としてとらえると本質を見誤る。

 森保監督の狙いがそこだけにあるはずはない。

 例えば、昨年11月のことだった。

 監督が練習の合間に選手と1対1で話をするのはもはや定番となっているが、酒井と監督はいかに試合を締めくくるのかについて話し合っていた。それはリードした試合を安全に終わらせるという直接的な目的だけではなく、アジアカップという長期戦をいかに戦い抜くかをすり合わせるためだった。

【次ページ】 戦術家というより戦略家。

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